昨日の日記に、「予定通りにいかないことこそが面白い」と書きました。
それに関連して、自分の体験の中で、思い出したことがあるので、書きます。![]()
小学校2年生を担任したときのこと。
国語の単元で、音読劇をしました。
その年は2回目の2年生担任でした。
各教科の内容があらかじめ分かっていたので、最初から「国語」の物語単元は音読劇で通そう、と思っていました。
その一発目が、くどうなおこ作「ふきのとう」でした。

当時はインクルーシブ教育に先進的に取り組むA市にいました。
支援学級在籍のAさんも、クラスの中にいて、いっしょに国語の学習を進めていました。
Aさんには、音読劇の役割分担の中では、最後の方に出てくる、「こんにちは」だけを担当してもらいました。
日常的に使う挨拶の言葉ですし、5文字だけの、短い言葉です。
「これだったらAさんも言えるかな」と思っていました。
これは、タイトルにもなっている、ふきのとうのセリフです。
最後の場面では、たくさんのふきのとうが顔を出します。
他の子が次々と「こんにちは」を言った後、他の子たちをまねて、同じように言えばいいようにしていました。
発表会の本番当日。
Aさんも、ちゃんとはっきりとセリフを言えたのですが・・・
なんと、Aさんは、「こんにちは」を、「わ」ではなく「は」と言っていまいました。
思わず、みんながどっと笑いました。![]()
でも、それが、全然失敗を笑うような笑い方ではなく、心から楽しそうな、明るい笑いだったのです。
明るい笑い声が巻き起こったすぐ後、Aさんはもう一度、今度は「こんにちわ」と、言い直しました。
そして最後のナレーション。
別の子が、「もう、すっかり、春です」
で、幕。
期せずして起こったハプニングと笑いにより、フィナーレはより一層感動的なものになりました。
このことは、たぶん、一生忘れません。
クラスメイトたちのあの笑い声は、昨日のブログ記事の中で引用した
「あなたのありのままが面白いよね!」というメッセージ
そのものだったなあ、と思います。
子どもたちの世界は、ほんとうに、すてきです。![]()
カテゴリー: 読む・音読・朗読
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小2音読劇「ふきのとう」で起こった大感動の思い出
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スーホは女の子?(小2国語「スーホの白い馬」:「スーホってどんな人?」)
光村図書の国語教科書2年生教材は、指折りの名作ぞろいです。
勤務校では、そろそろ「スーホの白い馬」に入ったところです。
今日、子どもに「スーホってどんな人?」というのを聞いていたら、今までは思いもしなかったことを子どもが言い出しました。
本文に「少年」と書いてあるのですが、その意味を「女の子」だと思っていたのです。
なぜ、「女の子」だと思ったのか?
それは、挿絵に引きずられていたからです。
たしかに、スーホの顔がアップで映っているときの絵は、女の子に見えなくもありません。
そして、後で出てくる絵では、スカートのようなものをはいています。
これは、モンゴルの民族衣装なのですが、そのイメージから、「女の子」だと判断していたようです。

(参考画像:シルエットACより)
子どもは、大人には思いもつかないような「思い違い」をしていることがあります。
子どもと対話して、子どもがどんなふうに言葉の意味をとらえ、作品をとらえているか、ちゃんと確かめないといけないな、と思ったのでした。

『スーホの白い馬 モンゴル民話』 (日本傑作絵本シリーズ)
[ 大塚勇三 ]

▼10歳の天才馬頭琴奏者に会いました♪
(2009/04/19の日記) -
「さかなやのおっちゃん」で楽しく買い物学習へつなげる
「さかなやのおっちゃん」という詩があります。
作者は畑中圭一さん。
「さあ、こうてや こうてや~」で
はじまる、関西弁の売り文句で始まり、
連の終りには
「そんなあほな、おっちゃん」などの
お客さん(?)の突っ込みが入る、
楽しい詩です。この詩を使って、特別支援学級の合同学習をしています。
この詩は「せりふ」で構成されていることから、
詩の音読から「お芝居」「ごっこ遊び」に発展させやすい
ナイスな教材です。ある程度、詩の音読をしたら、
「お客さん」役を1~数名つのります。残りの子は、「お魚屋さん」になります。
がらんがらん
と鳴る呼び鈴(?)を使って
お客さんを呼ぶところからスタートします。「いらっしゃい、いらっしゃい」
お客さんに向かって言う言葉は、
当然「お客さん」に向けて言わせます。「対象を意識して言葉を話す」ことの具体的練習でもあります。
さらに発展として、今後
「さかなやのおっちゃん」の
「おっちゃん」を「〇〇さん」と子どもの名前に変えて
やってみるバージョン、「さかなやのおっちゃん」の
「さかなや」を「〇〇や」と変えて
さかな屋とは違う「お店屋さんごっこ」をやってみるバージョンと、変化形を考えています。
こういういろんなアレンジがきく、
工夫・発展しやすい教材、
おもしろくてワクワクする教材はとっても貴重です。この詩はどこに載っているかというと、
2年生用の音読詩集「おがわ」(光文書院)などに載っています。日本標準だと「ことばのアルバム」音読詩集の4年生に載っているようです。
『言葉の力を伸ばす発展教材の学習』という本では、
有田和正先生が
「高学年の発展教材(「さかなやのおっちゃん」(畑中圭一)で、方言を楽しむ」
というテーマで授業を紹介されているようです。
『発展教材の開発シリーズ6 言葉の力を伸ばす発展教材の学習』
(岡山木曜会 /有田和正、明治図書、2003、1800円くらい)そんなわけで、全国で話題沸騰教室大爆笑超お勧めのこの詩。
知らなかった人はぜひ今日から「詩の音読」の
対象候補に加えましょう!(^0^) -
★オススメ! 石川晋×ちょんせいこ『国語ファシリテーション』
『国語ファシリテーション』の本を、ようやく読み終えました。

『対話で学びを深める 国語ファシリテーション』
(石川 晋×ちょんせいこ、フォーラム・A、2022/12、税別2100円)
4年半を費やしてまとめられた本だそうです。
中身が、とても、充実しています!
国語教育の本として今間違いなくオススメできる内容です。
ムズカシイ実践はひとつもなく、たぶん今全国の皆さんが普段の授業でされていることと地続きの内容なので、ぜひ読んでもらいたいと思います。
石川晋先生は長年にわたって小中学校両方の授業を、ご自身の学校だけでなく、全国の学校を訪問して実践してこられた方です。その授業を「のぞき見」できる楽しみが本書にはあります。
子どもたちと楽しみながら授業をされている雰囲気が伝わってきますので、ワクワクしながら「こんな授業、自分も体験してみたいな」と思いながら読めますよ。
前半は音読についてかなり詳細に書かれており、僕はこの時点でとても感動していました。
この本を読んで、僕は、複数回音読することの大切さに、改めて気づかされました。
「ああ!こんなにたくさん音読しても、いいんだ!」と気づかされた貴重な授業記録が、そこにありました。
(この本は、石川晋先生の、かなり詳細な授業記録がところどころで紹介されています。)
おかげで、自習の時間に入ったクラスで飛び込みで国語の授業をしたとき、僕の理想のする「音楽のような授業」にかなり近づけた実感が持てました。
あれは、担任不在の自習の時間に4年生に入ったときのことです。
「熟語の意味」という小単元のプリントが用意されていたのですが、子どもたちはその単元の授業は受けておらず、いきなりプリントをする予定になっていました。
僕は、教科書の授業をひととおり確認してからプリントをさせた方がいいように思ったので、即興で15分ほどの授業をしてからプリントをさせることにしました。
そのとき、僕は「熟語の意味」と題名を子どもたちに音読させた後、もう1回「熟語の意味」と読んで、追い読みを同じフレーズで2回行うことを、やりました。
こういった「くりかえし音読」を、その小単元の終わりまで、続けました。
たったこれだけで、「かなりちがうな」という印象を持ちました。
これは、すごくシンプルで、やろうと思ったらすぐにできることです。
でも、この本を読んでなかったら、こういったことをやろうという発想が、まず、出てこなかったです。
この本を読んでいたおかげで、楽しい授業時間を子どもたちと共有することができ、とてもありがたかったです。
2回目は、子どもたちの反応が、少し変わるんです。
ただ音読をしているだけなのに、子どもたちと「やりとりをしている」という感じがすごく出てきて、うれしかったです。
本書では具体的な授業の中身も多数収録されていますが、何よりも「なにを大切にして、授業というものをとらえるか」ということを著者と一緒に考えることができます。
この本をきっかけに自らの興味関心に従ってさらに深めていくこともできるように、脚注も充実しています。
あなたが国語の授業を担当するなら、ぜひ、読んでみてください。
そして、脚注で紹介されていた他の方の本にも、手を伸ばしてみてください。
この本の最後の方には、「授業じまい」の話題も出てきます。
ちょうど年度末でタイムリーなので、本書から引用させてもらいます。
ちょんせいこさんが石川晋さんの授業を言語化されることで、第三者の僕たちのような読者にとっても、すっと入ってくるものになっています。ちょん:例えば、授業びらきを読み聞かせではじめたら、授業じまいも読み聞かせで終わるみたいな。
そういう一貫した物語をデザインしていくって、授業でとても大事ですよね。
(同書p228より)「おわりに」で書かれている
「ファシリテーターであるちょんが、ファシリテーションという視点・文脈で価値づけてまとめる」(p236)ということの具体的なかたちが、上の引用箇所にも、非常によくあらわれていると思います。
本書のなかでふれられている授業実践の中にも、ペアでつくりあげる実践がふくまれています。
本書自体もペアで作りあげられたということに、本書の中身と本書の創造とに共通する「実践者」の思いを感じられて、とても興味深いです。
最後に、個人的なことを少し書きます。
最後の方を読んでいると、僕が個人的に晋さんに相談に乗っていただいた「星の王子さま」が「授業じまい」の教材例として取り上げられており、びっくりしました。
「星の王子さま」は僕も大好きな作品で、個人的にこの物語を歌にするという取組をしていて、その歌詞の相談に乗っていただいていたのでした。
↓
▼自作曲「星の王子さま」

▼子どもの学習意欲を高める授業の工夫
(2019/08/30の日記)
▼小学1年生国語「くじらぐも」で、子ども同士が伝え合う姿に感動♪
(2021/11/18の日記)
▼「たから島のぼうけん」の創作物語を考えるのにも使える!宝島を舞台にしたアンプラグドプログラミング教材
(2021/12/10の日記)
▼「ミュージカルのような授業」 ~マンガ家矢口高雄さんの体験より
(2014/03/29の日記) -
ピアノと朗読で聞く「なめとこ山の熊」(Audible)などのこと
Audibleで「なめとこ山の熊」の朗読を聞きました。
朗読のBGMとしてピアノが入るんです。
朗読とピアノのコラボレーションで、物語世界への没入感が、すごいことになっています。
ゆっくりと落ち着いたナレーション(朗読)も、すばらしい!
オススメのオーディオブックです。

なめとこ山の熊 世界の童話シリーズその271
(宮沢賢治作、ことのは出版、2018、14分)
Audibleにはほかにもアニメ「まんが日本昔ばなし」で有名な常田(ときた) 富士男さんによる朗読のバージョンなどもあり、バリエーションがとても豊かです。
昨日のブログで「多様性が大切」といった話を書きましたが、お話の朗読もそうですね。
みんなちがって、みんないい。
同じ作品であっても、いろいろな読み方がある。
いろいろな、表現方法がある。
常田 富士男さんによる朗読のバージョンも、大変引き込まれます。
こちらはピアノなどのBGMはいっさい入らない、声のみの常田シアターといった印象。
この声は、常田さんにしか出せない。
唯一無二の表現世界が、そこにあります。

なめとこ山の熊
(宮沢賢治作、朗読:常田 富士男、TOKYO FM & Appleway、2015、34分)
宮沢賢治作品の、多様な朗読者による朗読の聞き比べ。
おすすめです。
寝る前に聞くのもよし。
読み聞かせに使うのもよし。
家事をしながら聞くのもよし。
「耳だけ読書」という読書形態が、「読む」というインプットの別のかたちを提案してくれているので、そこもまた、多様性。
「そんなカタチもあるんだ」と驚きながら、その利益を享受するのもまたよし。
今はほんとうに、いろんなカタチが、身近に、手近に、感じられる時代ですね。

▼国語科教材「ごんぎつね」の朗読をYouTubeで公開
▼朗読により文学作品の情景が立ち上がる!~稀代の朗読マンガ『花もて語れ』
▼『モリー先生との火曜日』1~「つまりは、もう一度赤ん坊になるってことさ」
▼川村たかし『サーカスのライオン』(絵本)
▼ミヒャエル・エンデ『モモ』