月: 2024年6月

  • 「自分も他の人もみんな同じように大切にされる」 ~拝野佳生『関係支援を核とした学級づくり』その4

    以下の本の読書メモを書いています。

    関係支援を核とした学級づくり 「特別でない」特別支援教育をめざして』
    (拝野佳生
    (はいのよしき)、解放出版社、2023/11、税別2000円)
    今回が、第4回(最終回)です。
    ↓過去記事は、こちら。スマイル
    第1回: 子どもたちをつなごう!
    第2回:「人権意識の”変わり目”となったエピソード」
    第3回:「『関係支援』の具体的展開」

    前回の続きのページで、僕がどうしてもふれておきたいのは、Dさんの事例です。
    (p62~69 第2章第2節第4項「『仲間の変化』とマイペースなD」)
    Dさんは転入生でした。
    広汎性発達障害の診断を受けており、「ちょっと変わったやつ」という印象をもった子だったそうです。
    (p62)
    トラブルメーカーだったDさんですが、トラブルつづきだったところから、変化が変化を呼び、Dさんは次第に落ち着いていきます。
    その説明の中で著者は、
    まわりが変わってDが変わる。Dが変わり、まわりも変わる。
    と書かれていました。(p65)
    そして、象徴的なのが、3学期に入ってすぐの、長なわの練習のシーンです。
    Dさんが長なわを跳べたことを自分のことのように喜ぶクラスメイトの作文が、紹介されていました。
    その作文について、担任だった著者は、次のような感想を述べています。


    ・この文を書いた子はDが跳べたことをクラスの喜びとしてとらえ、
     自分が跳べたかのように素直に綴っています。
     こういう思い方ができる子を育てることが、
     「関係支援」がめざす1つの着地点だと考えています。
     

    (p66より)


    「関係支援」をテーマにした本書ですが、その「着地点」としての事例もこうやって示していただいていることで、読んでいる僕たちにとっても、めざすものが非常にイメージしやすくなっています。
    担任の経験がある者なら、こういった経験は、少なからずお持ちではないかと思います。
    仲間の成功を自分の成功のことのように喜ぶ。
    ここでは、自分と他者の境界線が区切られることなく、自分と他者が一体化しています。
    学校でみんなと学ぶ意味は、まさにこういったところにあるのではないかと思います。ぽっ
    実は本書の後半では「着地点」だけでなく「終着点」としての事例も述べられています。
    本書でおそらく最もページ数が割かれているのは、この事例です。
    このブログ記事は公開直後に著者の拝野先生にも見ていただいているのですが、拝野先生から、次のような言葉をいただきました。
    このように、関係支援の着地点は”周囲の変化”でした。しかしこの後に登場するGさんは、周囲の変化もさることながら、”本人の劇的な変化”が見られました。
     これを私は『関係支援の”ひとつの”終着点』であると言ってます。
    「終着点」に関する事例は、僕は拝野先生の研修会で直接お聞きしたのですが、これは「又聞き」ではなく、ぜひ、直接ふれていただきたい事例です。
    本書ではかなり詳細にそのことにふれられていますので、その詳細は、ぜひ本書でご確認ください。大笑い

    ほかにも、本書ではまだまだたくさんのことが述べられています。
    ただ、それを全て書いているときりがないので、最後に、ひとつだけ。
    「教育の目的」を大きくとらえ直すところについて、紹介して終わりたいと思います。
    前回もテーマに挙げた「育てる」ということ、「教育する」ということについて。
    その全体をとう捉えるのか。
    本書は一貫して、当事者の人権という視点に立った考察がされています。
    最後に引用するのは、「子どもの権利条約」です。
    その、「教育の目的」の部分です。


    ・子どもの権利条約(6)「教育の目的」(第29条)
     「教育は、子どもが自分のもっているよい所をのばしていくためのものです。
      教育によって、子どもが
      自分も他の人も みんな同じように大切にされるということや、
      みんなとなかよくすること、
      みんなの生きている地球の自然の大切さなどを
      学べるようにしなければなりません」

    (p111 ユニセフ訳による)


    非常に分かりやすく、読みやすい訳です。びっくり
    本書では「ユニセフ訳」となっていますが、今ネットで検索すると、同様の内容はアムネスティ・インターナショナルのサイトで見られました。
    他の条文も含めて、ぜひ読んでみてください。
    ▼​子どもの権利 – 子どもの権利条約​(アムネスティ日本のサイトより)
    分かりやすい本も出ています。興味があればそちらも参照してください。ぽっ

    『子どもの権利条約ハンドブック』
    (木附 千晶・ 福田 雅章
    、自由国民社、2016、1870円)
    最近は、中学校の校則を子どもの意見をふまえて見直すなど、「第12条 意見を表す権利」にもスポットが当たるようになってきましたね。
    本書でおこなわれている「子どもをたいせつにする」ということの具体は、子どもの権利条約に表されているような、子どもの権利に依って立つものです。
    それは、決して大人の都合や、強制により、おこなわれるべきものではありません。
    そういった原点を再確認して、4回にわたって書いてきた本書の読書メモを終わります。
    この4回の連載記事については、公開直後に著者の拝野先生にも見ていただき、ご感想をいただくことができました。
    すばらしい著書を世に出していただいたことに、改めて感謝申し上げます。
    多くの皆様が本書を手に取って、読んでいただけることを、切に願います。ぽっ
    たいせつなことを たいせつにしよう


    「どんな子どもも、それは1つの個性であり、正解である」 ~映画「夢みる小学校」
     (2022/12/18の日記)​​
    「今、学校に求められていることは?」~佐藤豊先生より
     (2007/03/17の日記)

  • 6/2(日)に映画『夢みる給食』初のオンライン配信があるよ!

    GW中に観に行こうと思っていて体調不良で観に行けなかった映画、
    なんと、オンライン配信があるようです。びっくり
    このブログで何度もとりあげさせてもらっている映画『夢みる小学校』と同じ監督が撮影された映画です。

    『夢みる給食』
    公式サイト:​https://www.mirai-lunch.jp/
    新作映画だったので今までは映画館でのみ上映されていたのですが、
    6月1日から、自主上映会の受付が開始されます。
    それに合わせて6月2日のみ、日時限定でオンライン配信もされるとのこと。
    僕は、申し込みました。
    あなたも、観てみませんか?
    予告編  

    上の予告編の中で「全国にオーガニック給食がどんどん広がっている」というナレーションとともに、いろんな市町の名前が表示されているのですが、僕の住んでいる市や、勤務している市の名前もあり、びっくりしました。
    うちの給食も、オーガニックなんだ!
    なんだか、うれしいです。ウィンク
    映画の中では、「オーガニック給食の最前線」に取材されているようです。
    具体的に言うと、
    いすみ市、木更津市、佐渡市、亀岡市、武蔵野市、松川町、薩摩川内市、瑞穂市、喜多方市
    で取材されたのだとか。
    ここでもやっぱり、我が家からクルマで1時間圏内の、ちょっと近所の市町も登場しています。
    近くにあるすてきなものに気づかせてくれる映画って、すてきです。
    観るのが楽しみです。ぺろり
    なお、オンライン配信は『夢みる給食 60分Ver』となっており、少し編集されて短くなっているようです。
    6月2日の13時から限定で、しかも先着300名で締め切るとのこと。
    以下が、オンライン上映会の詳細です。
    (公式案内より転載)


    6月2日(日)ひと家族 1,500円(友達2人なら3000円)
    13:00〜14:10 『夢みる給食 60分Ver』VIMEO配信
    14:20~15:00 監督ZOOMトーク オーガニック給食 質疑応答
    ゲスト:白川久美子 すくすく保育園園長(映画出演者)
    中村陽子(めだかの学校 主宰)
    サテライト上映をして地域に給食仲間をつくり
    『夢みる給食』大規模上映会につなげてください。
    ⭐ 個人視聴申込み
    ↓↓↓↓
    https://mirai-lunch-online.peatix.com/
    (クラファン協賛者の方は無料視聴できます〜)
    ⭐ サテライト上映申込み
    ↓↓↓↓
    https://pro.form-mailer.jp/lp/b8f78ac9233779
    【サテライト上映会とは】
    自宅リビング、カフェ、会議室などで
    配信映像をプロジェクター、大型テレビモニターに接続して
    地域の人と配信映像上映会&お話会を開催。
    5人以上の観客を確保すればお申し込みできます。
    ※「議員、政治関係者」はサテライトの主催はできません。

    『夢みる給食』劇場公開まもなく終了 まず劇場で観てね!
    3月15日(土)~ 沖縄 シネマドーナツ 貸切り上映
    4月26日(金)~ 東京 シネマネコ 5/6 監督トーク
    4月26日(金)~ 兵庫 豊岡劇場
    4月26日(金)~ 宮崎キネマ館
    5月24日(金)~ 佐賀 シアターENYA


    皆さん、お見逃しなく!大笑い

    「どんな子どもも、それは1つの個性であり、正解である」 ~映画「夢みる小学校」
     (2022/12/18の日記)

  • 「恥ずかしながら、知りませんでしたっ!」(5/5放送「あ、安部礼司」)がおもしろかった♪

    2024/5/5放送のラジオ番組「あ、安部礼司」が神回でした。
    めっちゃおもしろかったです。大笑い

    第943回 あ、安部礼司 ~BEYOND THE AVERAGE~ 2024年5月5日
    (G RADIO、2024/05/05)
    上のYouTube版は著作権の関係で音楽がカットされています。
    完全版は「radiko」で聴けます↓
    https://radiko.jp/#!/ts/FMT/20240505170000
    ※但し、聴取可能期限:2024年05月10日 19:45まで
    「​あ、安部礼司​」は、音声によるラジオドラマ。
    人気の長寿番組です。
    僕は、アーカイブ配信を、毎週楽しみにしています。
    今回は、「恥ずかしながら、知りませんでしたっ!」がテーマ。
    と言っても、「いやあ、これは知らんかったなあ」というのが、いっぱい。
    知らない立場で一度聴いて、その後、知っている立場でもういちど聴いてしまいました。ウィンク
    この番組を聴けば、あなたも、
    「知ってる」「知らない」を客観的に笑いながら考察できるかも?大笑い
    結局、「知ってる」も、「知らない」も、紙一重なんですよね。
    番組では「知らない」ことを恥ずかしいと言ってはいるものの、登場人物のやりとりを客観的に聴いていると、「知らないことは、恥ずかしいことではないなあ」と、逆に思えてくるところが、いいです。
    #「知ったかぶり」は、恥ずかしいかも!(^o^;)
    「知ってる」「知らない」の中には、昭和ネタも出てきて、これが僕には、めっちゃツボでした。
    僕と同世代の方は、同じ所で笑えるかも!?大笑い
    僕はこの「​あ、安部礼司​」と武田鉄矢さんの「今朝の三枚おろし」の2つのラジオ番組をよく聴いています。
    今はスマホやPCで気軽に聴けますし、リアルタイムでなくても1週間は最新回がいつでも聴ける状態で公開されていますので、「運転しながら」などの「ながら聴き」に、おすすめです。ウィンク
    ↓「​あ、安部礼司​」は、マンガにもなっています。

    『あ、安部礼司です。2 BEYOND THE AVERAGE』 (PASH!コミックス)
    [ 青木 U平 ]



    「今朝の三枚おろし」で、感動的に語られた「通潤橋」
     (2022/09/28の日記)

  • 「完璧なマニュアルを示してその通りにしなさいというのが一番危険だ」~石川晋『エピソードで語る教師力の極意』その1

    夏休みに富山県で学習会があるので、行きたいなあと思っています。
    そこで、富山県について調べていました。
    図書館で、富山県の「るるぶ」を借りてきました。
    ガイドブックの中で、僕の目には「立山黒部アルペンルート」がとりわけ魅力的に映りました。
    公共交通機関を乗り継いで、かなり高所まで行けるようです。
    その絶景が、スバラシイ!
    山は好きなので、ぜひ行きたいなあと思っています。
    #本格的な登山はできないけど
    #バスで行ける範囲でいいので行きたい

    山と言えば、授業づくりネットワーク理事長の石川晋さんが、著書『エピソードで語る教師力の極意』のなかで、登山のことを少し書かれていました。
    エピソード12 ​登山ガイド執筆から学んだ俯瞰する力​」のところです。
    #教育書だけでなく登山ガイドまで書かれているとはスゴイ!
    晋さんが、登山ガイドの編集代表の方に言われたというのが、次の言葉です。
    「山は状況によって大きく変わる。
     完璧なマニュアルを示してその通りにしなさいというのが一番危険だ」
    (同書p31より)
    僕は、これを読んで、「ほほう!」と、うなりました。
    登山では安全のためにマニュアルを重視するのかと思っていたからです。
    完璧なマニュアルはむしろ危険だとは!びっくり
    このエピソードはたった1ページしか書かれていないエピソードですが、大変示唆的でした。
    晋さんはその後、「お気づきの通り、これは、教育の話にそのまま重ねられる指摘なのでした。」と書かれています。(p31)
    石川晋さんの本は、ジャンルとしては教育書にあたるものがほとんどだと思われますが、他の方の教育書とは、少し違っています。
    一般的にあまり教育書で語られないようなエピソードや視点が、さらりと含まれているのです。
    少し違った角度から、大事なことを言っておられることが多いように思います。

    『エピソードで語る教師力の極意 石川晋』
    (石川晋
    、明治図書、2013、税別1760円)
    明日も、本書から僕が印象に残ったところを切り取って、このブログで書きたいと思います。
    よかったら、また、見に来てください。スマイル

    ★オススメ! 石川晋×ちょんせいこ『国語ファシリテーション』
     (2023/03/21の日記)

  • 「提案されたものを消費されることに耐えられなくなった」~石川晋『エピソードで語る教師力の極意』その2

    ​​​昨日のブログ記事​で、石川晋さんの『エピソードで語る教師力の極意』の中から、「登山」のエピソードを紹介しました。
     「完璧なマニュアルを示してその通りにしなさいというのが一番危険だ」というお話でした。
    その話が載っている『エピソードで語る教師力の極意』という本自体、マニュアルではない、事例やエピソードで語られる教育書であります。
    #シリーズ化されています。
    #他の著名な教育実践家の方々も書かれています。

    『エピソードで語る教師力の極意 石川晋』
    (石川晋
    、明治図書、2013、税別1760円)
    この本の前に4回にわたって読書メモを書いていた
    拝野佳生『関係支援を核とした学級づくり 「特別でない」特別支援教育をめざして』
    もまた、事例やエピソードで語られる本でした。
    #『エピソードで語る教師力の極意』のシリーズであっても違和感ない。
    「教育」における「マニュアル」からの脱却について、彼ら先輩教員から示唆されていることの意味は大きい、と感じます。
    もちろん、子どもたちへの「教育」だけでなく、会社の新人教育などで考えても、「マニュアル」を整備した方が、圧倒的に、速いです。
    「コスパ」を考えるなら、そのほうが、断然コスパがいい。
    でも、状況が変わったら、その通りにはいかない。
    その通りにいかないと、思考停止してしまう子どもたち、新人社員が、圧倒的に生まれているのです。
    これは、マニュアル教育の弊害です。
    状況は、変わるのが、当たり前なのです。
    現実では、いつも想定外のことが起こります。
    マニュアル至上主義者はその想定外に対応できない。
    だからこそ、マニュアルに頼らず、今ここに起きているハプニングから学ぶことこそをやっていきたい。
    かく言う僕も、いろいろな方のお話を聞いて、やっとここ10年でそこに思い至ったところです。ぽっ
    学校は、そのための、かっこうの場なのです。
    想定外を楽しめるようになりたいものです。
    「マニュアル」に似たものとして、「ハウ・ツー」という言葉があります。
    僕は「マニュアル」も「ハウ・ツー」も否定するものではありません。
    むしろ大好きです。
    すぐそれに頼ろうとします。
    コスパ大好き人間です。
    手軽にラクをしたいです。
    若い頃は、「ハウ・ツー」を求めて研修会に積極的に参加していました。
    なにか役立つネタがほしかったのです。
    教師は多忙な職業でもあり、授業はライブであるため、ライブで使えるネタを必死で求める人が多いのは、経験的に言って、よく分かります。
    でも、一方で・・・ということも、考えておきたい。
    石川晋さんは研修講師として多くの現場教師に話をされてきましたが、あるときから「提案されたものを消費されることに耐えられなくなった」として、研修講師を引き受けることをあまりされなくなったそうです。(p133)
    このことについて、『エピソードで語る教師力の極意』では、こう書かれています。


    ・教室で使える「お役立ちセット」のように、
     もらって帰って何も思考しようとせずにそのまま使う(消費する)人たちが
     明らかに出てきました。

    ・教育活動って、そんな簡単なものでもいい加減なものでもない。
     そんな「消費されていく感覚」に耐えられなくなってきました。
    ・研究会や研修会に参加している先生方の教室の実践が、あまり変わっていないのではないかという深刻な疑いが生まれてきた
    (p133)


    「役に立つ」ことを前面に押し出しているブログ「きょういくユースフル」を書いている身としては、耳が痛いです。しょんぼり
    また、情報化がますます進んでいく今のネット社会において、自らが率先して消費者となり、多くのコンテンツをただただ消費していく消費者であることもまた、自覚せずにはおれません。
    ただ消費するだけで、何も成長していないということは、我が身を振り返っても、あるかもしれません。
    本当に役に立つとはどういうことか。
    サカナをとってやることか。サカナの取り方を教えてやることか。
    いろいろと、もやもやするのです。
    考えるのです。
    そして、それが、今こそ、必要なことなのかもしれません。

    ↑さっき見つけたフリー画像。
     似たようなことを僕はしているなあ、と思いました。
     「役に立つ」だけで、周りを育てることに本当になっているのかどうか、自問自答しています・・・。

    「人権意識の”変わり目”となったエピソード」 ~拝野佳生『関係支援を核とした学級づくり』その2
     (2024/05/05の日記)​​
    ネットでの買い物に「クーリングオフ」は適用されません
     (2023/10/15の日記)​​

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