月: 2024年6月

  • 「予定通りにいかないことこそが面白い」~『ユーモア的即興から生まれる表現の創発』

    ​​​昨日​の続きで、教育における演劇について、さらに深く考えていきたいと思います。
    主体的に演じる演劇という遊びを、どのようにして教育の中に取り入れていくのか。
    その具体的な実践事例として、とてもおすすめのDVD付き書籍があります。
    それが、この本です!↓


    『ユーモア的即興から生まれる表現の創発 発達障害・新喜劇・ノリツッコミ』
    (赤木和重 編著、クリエイツかもがわ、2019、税別2400円、DVD付き)

    いきいきと即興でお笑いを演じる子どもたち、そのクオリティの高さ、そこにある意味について、ズガンと衝撃を受ける本です。
    赤木先生の編著になっていますが、主として「キミヤーズ」の村上公也先生の実践を報告した本です。
    村上公也先生はユニークな実践をされている特別支援教育のスペシャリスト。
    村上先生のことは以前のブログ記事でも何回か書いていますので、よければそちらもご参照ください。
    キミヤーズ塾オンラインでの村上先生のお話(「1しか言えない」ではなく、「1が言える」など)
     (2021/02/27の日記)​
    村上先生の教え子たちは、卒業してからも村上先生のもとに集まっているそうです。
    その名も、イチゴママ塾。
    いちおう学習会なのだそうですが、そこでの学びの深さ、レベルの高さに、非常に驚かされます。
    村上先生は、次のように書かれています。


    ​・成長だとか発達だとかを目指し、成果だけを追い求めて、軋み合っている教育現場から離れて、知的好奇心を遊ばせる空間に自由人たちが憩いを求めて集まってくる。​
    (p90)


    「学び」の理想型がここにはある気がします。ぽっ
    「成長だとか発達だとかを目指し、成果だけを追い求めて、軋み合っている教育現場」の住人である僕は、とてもドキリとしました。
    成果主義に陥らないようにしようと心がけてはいるのですが、学校というところは、どうしてもそういう傾向から抜け出せなくなってしまいがちです。
    だからこそ、本書のような、違った価値観を真正面からぶつけてくる実践本に、出会っておく必要があるな、と思います。
    本書では村上実践だけでなく、砂川実践も紹介されています。
    砂川一茂さんは放送作家。
    誰でも簡単に参加できる「体験新喜劇」の普及に取り組まれている方です。
    札幌市教育文化会館のホームページでは、砂川さんがつくられた、「誰でも漫才ができる台本」が公開されていますので、よければアクセスしてみてください。
    ▼​<教文たまてばこ> 砂川先生からのメッセージ
    砂川実践について、筑波大学の茂呂雄二先生は、次のように書かれています。


    ​​​・を超えるパフォーマンス​​​
    ・どこが演技でどこが演技でないのか、どこが台本通りでどこが台本と違うのか、そんな区別ができない、区別がアホらしくなるパフォーマンス
    ・台本から外れた大失敗ともいえるものが、じつは大きな笑いにつながっていました。
    ​ そうなると、これは失敗ではなく大成功なわけです。​
     砂川一座のパフォーマンス空間には失敗や間違いという文字はないようです。
     失敗がないということは、リスクをとってチャレンジができる発達の空間だといえます。
    (p146)


    ここで紹介されているパフォーマンスを演じられたのは、エコールKOBEのみなさん。
    障害のある青年たちです。
    通常の学校であれば、障害があることによってできないことが多く、失敗経験を重ねてしまうということが多く見られますが、砂川実践ではむしろそれが逆になるということが痛快であり、気持ちが明るくなるところです。
    通常の学校の教育改革にも、こういった要素が、少しでも入っていけたら、と思っています。
    赤木先生は本書の中で、今の日本の特別支援教育について
    「能力・スキル向上至上主義教育」
    「『できる』ことにこだわっています」
    「計画通りに、子どもを教えようとする傾向が強い」
    と書かれています。
    (p161)
    僕たち教員は、そのことに自覚的になり、その一方で、教育の中身の幅を広げるべく、努力する必要があります。
    それは、多様性を受け入れて、寛容な教育をすることにつながります。
    それこそ、全ての子が輝く、インクルーシブな教育です。
    赤木先生は、村上実践と砂川実践を受けて、次のように、書かれています。


    ・予定通りにいかないことこそが面白い
    ​​・「ユーモア」と「即興」です。​​
    (p164)
    ​​​​​・ユーモアの奥底にあるのは、「できる」ことではなく、​「できなさ」を含み込んだ子どもの「ありのまま」​に注目しているところです。そして、そのあなたのありのままが面白いよね!」というメッセージを子どもに伝えているところです。​​​​​
    ​​ 「能力の向上」ではなく「存在の肯定を大事にしています。​​
    (p165)


    今の日本の学校教育とは異なる価値観が、ここにはあります。
    どの子もみんなの中で輝く、インクルーシブな学校を作ろうとするなら、ユーモアをとりいれることは、必須のことかもしれません。
    最後に、本書にはコラムとして、東京学芸大学の渡辺貴裕先生も、寄稿されています。
    そのテーマは、ズバリ、「​演劇と学校教育​​」。
    その中で、「先生が実況中継風にナレーションを入れる」という例も、書かれていました。(p78)
    子どもが間違ったセリフを言っても、子どもが何をしても、実況中継のナレーションで「今日はなんだか、ちいさいヤギが中くらいのやぎっぽい!」(p79)などと、フォロー(?)をすることができるそうです。
    今はYouTubeでも実況中継の動画が、はやっているようです。
    先生が実況中継風のナレーションをつけることで、何が起きるか分からない状況を楽しんだり、予測がつかないことをする子どもたちに舞台上での活躍の機会をあげたりすることができそうですね。
    「即興演劇」には、演劇の醍醐味がつまっています。
    日常を即興演劇として楽しむことができれば、どんな状況でも楽しめるようになりそうです。大笑い
    渡辺貴裕先生は、『なってみる学び』という本を書かれています。
    買ってからしばらく本棚に置いたままにしていましたが、そろそろ読み始めていこうと思います。

    なってみる学び  演劇的手法で変わる授業と学校』
    (渡辺貴裕

  • 小2音読劇「ふきのとう」で起こった大感動の思い出

    ​昨日の日記に、「予定通りにいかないことこそが面白い」と書きました。
    それに関連して、自分の体験の中で、思い出したことがあるので、書きます。ぽっ
    小学校2年生を担任したときのこと。
    国語の単元で、音読劇をしました。
    その年は2回目の2年生担任でした。
    各教科の内容があらかじめ分かっていたので、最初から「国語」の物語単元は音読劇で通そう、と思っていました。
    その一発目が、くどうなおこ作「ふきのとう」でした。

    当時はインクルーシブ教育に先進的に取り組むA市にいました。
    支援学級在籍のAさんも、クラスの中にいて、いっしょに国語の学習を進めていました。
    Aさんには、音読劇の役割分担の中では、最後の方に出てくる、「こんにちは」だけを担当してもらいました。
    日常的に使う挨拶の言葉ですし、5文字だけの、短い言葉です。
    「これだったらAさんも言えるかな」と思っていました。
    これは、タイトルにもなっている、ふきのとうのセリフです。
    最後の場面では、たくさんのふきのとうが顔を出します。
    他の子が次々と「こんにちは」を言った後、他の子たちをまねて、同じように言えばいいようにしていました。
    発表会の本番当日。
    Aさんも、ちゃんとはっきりとセリフを言えたのですが・・・
    なんと、Aさんは、「こんにちは」を、「わ」ではなく「は」と言っていまいました。
    思わず、みんながどっと笑いました。大笑い
    でも、それが、全然失敗を笑うような笑い方ではなく、心から楽しそうな、明るい笑いだったのです。
    明るい笑い声が巻き起こったすぐ後、Aさんはもう一度、今度は「こんにちわ」と、言い直しました。
    そして最後のナレーション。
    別の子が、「もう、すっかり、春です」
    で、幕。
    期せずして起こったハプニングと笑いにより、フィナーレはより一層感動的なものになりました。
    このことは、たぶん、一生忘れません。​
    クラスメイトたちのあの笑い声は、昨日のブログ記事の中で引用した
    あなたのありのままが面白いよね!」というメッセージ
    そのものだったなあ、と思います。
    子どもたちの世界は、ほんとうに、すてきです。ぽっ

  • GIGA時代の学びと、GIGA時代の職員研修 ~『GIGA完全対応 学校アップデート+』

    次の本を読みました。

    『GIGA完全対応 学校アップデート+』
    (堀田 龍也
    ほか、さくら社、2022/6、税別1700円)
    この本に出てくる「職員研修」の例は、新時代の職員研修のやり方だなあ、と思いました。


    ・校内研修では、読んでおくべき資料や、見ておくべき研修映像等をクラウドで共有しておき、各教師のタイミングで見て感想等をクラウド上に残すようにしておけば、集合して行う教員研修では話し合いから始めることができ、時間効率が良くなります。

    (本書p15より)



    これって、授業における「反転学習」と全く同じですよね。
    (「反転学習」とか「反転授業」と呼ばれるものです。
     僕がさっき文字入力して漢字変換したら「飯店授業」と出てきましたが、
     それは、ちがいます。ぽっ

    ​ いや、むしろそれはそれで、とても魅力的だけど。大笑い
    以下は、僕が少し前にICTの学習会の講師で呼ばれたときに作ったスライドです。


    実際は完全にこういったかたちで実施されている授業や研修はまだ少なくて、「片足をつっこみかけている」というのが実情でしょうか。

    たとえば、事前に動画などを視聴してから参加者が集まる、というのは、わりとされるようになったと思います。
    GIGAスクールの1人1台端末が普及して、子どもたちに「家でこの動画をみておいてね」とリンクを共有しておくのも、手軽にできるようになりましたしね。
    (まだまだ授業中に大型テレビで見せているケースの方が多いですが・・・。)
    僕の勤務市の特別支援教育の研究授業は、昨年も今年も、授業のビデオを事前に見ておいてから、参加者が集まる形式でした。
    時間効率以外にも、より多くの参加者に対応できるというメリットがありそうです。
    子どもたちが数人しかいない教室を大人数の大人が取り囲んで授業を見学するとかはしにくいですからね。
    ただ、その感想の集約までを事前にするところまでは、なかなかいっていないかな。
    本当は、そこまでできるんですよね。
    それだったら、誰がまだ見てないかとかもわかるし。
    (もしかしたら、それが分かるのが、参加者には嫌がられるのかもしれないけど)
    「事前に感想の集約」というのは、すごくいいのでは、と思う反面、文字入力したものを先に出してもらうというのが、なかなか進みにくいというのも、感じています。
    対面で集まって、「この付箋に書いてくださ~い」と言うと、皆さんさっと書いて出してくれるのですが、Teamsとかで「コメント書いてくださ~い」と投げかけても、ほとんどコメントが返ってこないというのが、実感として、まだまだ多くあります。
    新時代の研修や授業、なかなか一足飛びにはいきませんね。しょんぼり
    いずれにしろ、大切な授業や研修の時間は、「対話」に使いたい、というのが一番の改革の要諦です。
    せっかく集まっているんだから、対面で集まっていないとできないことに、時間を使いたい。
    動画を見るのは、一人でもできるわけだし、教科書を読んでおくのも、家でもできることです。
    リアルな対面授業の値打ちがほんとうに感じられる、その場で生み出される予想していなかった対話の重なりと、そこから深い学びに向かっていく高揚感。
    これをぜひ重視したいですね。大笑い

  • 4年生に通潤橋のすごさを語ってきました!(^^;)

    今日は4年生の教室に入って、黙ってようと思ったけど我慢できなくて、通潤橋のすごさを語ってしまいました。
    「君たちの机が台地なんだ!
     その上に田んぼがあるんだ!
     水は床を流れているんだ!
     低いところの水を、どうやって上の田んぼにあげるのか?
     そんなこと、できるわけないんだ。
     でも、それをやったんだ。
    ​ それが通潤橋だ!」​
    と熱く語りました。(^^;)

    社会科に感動を❗️😄
    ちなみに僕には、低いところの水が上に行くサイフォンの原理は、いくら勉強しても、なぜそんなことが可能なのかよく分かりません。。。
    分からないから、よけいに「すごい」と思うのかな・・・。
    (関連する過去記事)
    「今朝の三枚おろし」で、感動的に語られた「通潤橋」
     (2022/09/28の日記)​
    ↑上で紹介している武田鉄矢さんのラジオ番組の開始から28分後に、「通潤橋」が出てきます!

  • エデアル(個別課題用に作られたアプリだけど、集団利用もできそう!)

    「エデアル」というWebアプリを教えてもらいました。
    ​エデアル | 無料の知育ゲーム&アプリ (edeal-soft.com)​

     ​https://edeal-soft.com/
    多種多様なトレーニングが選べます。
    まあ、言ってみれば、ゲームですけど。大笑い
    「脳を鍛える大人の○○」をご存じの方は、それに近いのが無料でできる、と思っていただくと、イメージしやすいかもしれません。
    すごくたくさんのメニューがあるので、ぜひチェックしてみてください。ぽっ
    特別支援教育で、かなり使えるWebアプリです。
    もちろん、通常学級でも!
    というか、このブログ記事を書いてみて初めて発見しましたが、通常学級の大きな集団の中でワイワイ言いながらやるほうが、ひょっとするともっと楽しいかも、という気がしてきました。
    今まで、「これは個に合った個別課題をやるものだ」という認識でいたのですが、なんでも「みんなでやるのは、どうかな」という認識を持ってみたほうがいいですね。
    新しい発見があるものです。
    たとえば、「聞き取りクイズ」。

    (画像は、公式サイトより)
    集団の場で個別課題としてするなら、イヤホンがない場合は使いにくいですが、「注意深く聴く」というトレーニングができるのは、けっこう希少です。
    いっそ、聞き取りテストのときみたいに、みんなで問題を聞いて、みんなで答えを言うのも、おもしろいかもしれません。
    この「聞き取りクイズ」は、最初の方はかんたんですが、最後の方は、かなり難しくて、メモを取らないと絶対に答えられなさそうなハイレベルなものになっています。
    僕は、覚えるのが苦手なので、絶対答えられません。
    覚えるのが得意なあなたは、ぜひ挑戦してみてください。
    実は、学期末ですが、小3のクラスで、「タブレットを使った授業をなんかやって」と頼まれています。
    今度は、この「エデアル」を使ってみようかな、と思っています。
    (通級では、わりと何度も使ってきました。ぽっ
    通常学級の教室でみんなで一斉に取り組むなら、「まねっこたいそう」は、かなり楽しそうだと思っています。

    電子黒板に投影して、教室中のみんながそのポーズができるか挑戦するなんて、想像しただけで、楽しすぎます。大笑い
    ちなみに、体操のポーズは、タップしなくても自動で切り替わります。
    年齢層によっては、切り替わるテンポについていけないかもしれません。
    僕は、自信ありません・・・。
    まあ、でも、完璧にできなくてもいいわけだし、楽しんでやれたらOKですよね!?
    ほかにも、でっかい画面に投影して、みんなでワイワイできそうなのが、あります。
    おぼえてタッチ」です。
    ただし、このトレーニングは、代表児童1人に、前に出てきてもらいます。
    でも、その子が分からなくなったら、「次はあそこだよ!」とか、見ている周りの子が、教えてくれそうな気がします。
    1人ではできなくても、みんなの力を合わせると、めっちゃ先に進める、なんていう体験ができると、ステキですね。

    ここで紹介した以外にも、ほんとうにたくさんのトレーニング(ゲーム)があります。
    もちろん、個別課題として1人1台タブレットで思い思いのものに挑戦するのも、いいと思います。
    それにしても、なんで、「エデアル」っていうのかな?
    (関連する過去記事)
    タブレットを使った出張授業の前回は、みんなで「アルゴロジック」をしました。
    めっちゃ、楽しかった!大笑い
    無料で誰でもできるプログラミングドリル「アルゴロジック」
     (2022/10/06の日記)

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