投稿者: にかとま

  • くだらないことを思いっきりやることがおもしろい! ~鴻上尚史『ロンドン・デイズ』その2

    ​ ​昨日​に引き続き、鴻上尚史さんの『ロンドン・デイズ』の読書メモです。

    ロンドン・デイズ』[ 鴻上尚史 ]
    【リンクは電子書籍版】
    本書は演劇学校への留学記ですので、演劇の授業のこともいっぱい書かれています。
    鴻上尚史さんのお芝居はとてもおもしろいので、当然、学生として参加されていても、各授業でかなり大活躍されています。
    特に面白かった授業のことを書いておきます。
    「演技練習」の授業です。
    この授業の中で、自分たちでお話をつくるように言われた回で、なかなかぶっとんだ設定のお芝居がなされました。
    即興でつくるお芝居なのですが、これが、めちゃめちゃ、面白かったです。
    ちなみに、タイトルは「マッサージ王国の一日」です。大笑い


    ・全員が円形になり、僕が真ん中に立って、マッサージ王国の歌を全員で歌いながら踊る。
     「マッサージ!
      あー、太股、太股、太股、マッサージ!
      あー、ふくらはぎ、ふくらはぎ、ふくらはぎ」
     という下らない歌である。
    ・無茶苦茶、下らないが、無茶苦茶、面白かった。

    (同書p144より)


    こういうくだらないことを共有するのが、とても、いいですね。大笑い
    日本の学校も、あまりまじめすぎるのではなく、こういう、くだらないことをみんなでやって笑い合うことが大切なのでは、と思いました。
    こんな簡単なことなら、すぐに取り入れられそうです。
    たとえば、算数の授業ででも、
    「今日は、三角定規の歌をみんなで歌いましょう」
    「あー、三角定規、三角定規、三角定規」
    なんて言ったりして。大笑い
    こんなシンプルな、単語を連呼するといったことだけで、めっちゃおもしろくて、笑い合える。
    こういう体験を、どんどんやっていくことが、大切だと思うな、僕は!
    「演技練習」の授業は、この後もけっこうおもしろいアイデアがたくさんあって、僕は、授業者の端くれとして、非常に興味深く読んでいました。
    たとえば、教室で、各自が持ってきたものを使って”秘密基地”をつくり、その中に入って「2歳の子どもに戻りなさい」という授業もありました。(p160)
    50分ほど2歳の赤ん坊になり続けた結果、授業が終わったときには、「みんな、顔が輝いて、一回り若くなったように見えた」んだそうです。(p161)
    いやあ。
    とても、いいですね!
    演劇って、やっぱり面白いし、エネルギーをくれますね。ウィンク
    (注)僕はここでは「授業」という言葉を使っていますが、本書の中では「レッスン」と書いてあります。
    #「授業」ではなく、「レッスン」

    子どもの学習意欲を高める授業の工夫
     (2019/08/30の日記)
    【実践】漢字の読み書きが困難な子どもがみんなと共に学び合えるようにする提案授業(小4「漢字の広場」の授業) ~僕は、こう考えたんだ。~
     (2023/09/17の日記) ​

  • 「常に気をつけていないと、この落とし穴にはまる」 ~鴻上尚史『ロンドン・デイズ』その3

    鴻上尚史さんの『ロンドン・デイズ』の読書メモを書いています。

    ロンドン・デイズ』[ 鴻上尚史 ]
    【リンクは電子書籍版】
    本日が、第3回。
    ↓過去記事は、こちら。
    ▼その1 言葉の勉強は、7割が聞くことだ。
    ▼その2 くだらないことを思いっきりやることがおもしろい!
    今日は、「先生」と呼ばれる立場にある人が、
    共通してはまりそうになる「落とし穴」についてです。
    本書はロンドンの学校への留学記ですので、実際の授業のことがいっぱい書かれています。
    その中には、当然、「先生」のことも出てきます。
    ユニークなレッスンをする「先生」がたくさん登場します。
    ただ、鴻上尚史さんが「先生」のことを書かれている記述の中で、「これは、僕たちも、気をつけておかないといけないな」と思ったことがありました。
    今回はそのことを書きます。
    「アン」という先生について、書かれた部分です。
    4章の途中、p207から、「みんな泣き出すアンの授業」という話が始まります。
    「演技練習」の授業の中で、アンという先生は、授業の中で感情を出すように生徒たちに促します。
    自分の感情を語るレッスンです。
    #チェッキング・インというそうです。
    たしかに、感情を出すことは、大切です。
    ただ、その授業は、「なんだか、泣きながら自分の苦しいことを言わないといけないような雰囲気」だったそうです。(p208)
    あくまでも、鴻上さんの捉え方ですが。
    たくさんの生徒が、順に、悩みや苦しみを正直に吐露し、大泣きしました。
    それについて、鴻上さんは冷静にこう書いています。


    ​​​・アンは、生徒が自分の前で涙を流すことが、快感なんじゃないかと、僕は感じていた。
     生徒が、自分の言葉によって、泣き、救われるという快感。
     僕は演出家として、そこに、アンの歪んだ欲望を感じたのだ。
     そして、それは、演出家として、一番、戒めないといけないことだと僕は思っていた。
     古今東西の権力者が語る権力の最高の快感は人間を操縦することだ。
    演出家は、常に気をつけていないと、この落とし穴にはまるのだ。​​​

    (同書p144より)


    演出家として長年第一線でやってこられたからこその、洞察だと思いました。
    人間というものの、危うさ。
    権力者と呼ばれることが少しでもある立場にある者は、このことに自覚的にならなければならないと思いました。
    ここで重要なのは、生徒が感情をあらわにし、自分の悩みを語って、みんなでシェアすること自体が、問題なのではないということです。
    それは、もしかしたら、よいことなのかもしれません。
    でも、それが「先生」によって、恣意的に行われることの危うさを、鴻上さんはおっしゃっているのだと思います。
    そして、力量があって、生徒がその先生のことを尊敬し、信頼している場合であればあるほど、こういったことは、起こりやすいのです。
    カリスマ教師ほど、起こりやすいのです。
    生徒が「言うことを聞く」ということに、酔ってしまうのです。
    僕は力量がない「先生」なので、こういうことはあまりないですが、
    「カリスマ教師」に憧れたことは、何度もあります。
    ただ、それは、鴻上さんが言うところの人間を操縦したいという欲望から来ていたものなのかもしれません。
    僕は、「リーダーシップ」というものの、裏を垣間見たような気がしました。
    決して、リーダーシップそれ自体を否定するものではありませんが、そういった危険性があるということです。
    あなたは、どう思われますか?

    「学ぶのは子どもだし。『わからない』ことは重要」 ~工藤勇一×鴻上尚史『学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか』その3
     (2019/08/30の日記)
    コロナ禍の中こそ、自宅で演劇鑑賞!「観劇三昧」
     (2023/09/17の日記)

  • 理想の学校?? (映画ドラえもん「のび太と空の理想郷」をもとに考察)

    鴻上尚史さんの『ロンドン・デイズ』の読書メモを書いている途中ですが、別の話を少し挟みます。
    昨日の話​にすごく関連する話です。
    昨日の話は、僕はすごく重要な話だと思っていて、そのことをけっこうずっと考えていました。
    そんななか、このあいだテレビで昨年の劇場版「ドラえもん」が放送されていたのですが、そのなかの「学校」が、まさに鴻上尚史さんが指摘された状況そのものだな、と思ったのです。
    昨年の劇場版「ドラえもん」というのは、「のび太と空の理想郷(ユートピア)」というやつです。
    #久しぶりに映画「ドラえもん」を観ました。
    #子どもの頃は、ずっと観ていました。

    映画ドラえもん 「のび太と空の理想郷」 DVD
    ※今から書く内容は、この映画の重要なネタバレを含みます。
    この映画を今から観るのを楽しみにしている人は、読まないでください。

    映画の中で、ドラえもんやのび太たちは、理想郷(ユートピア)を探します。
    そして、ついに、たどりつきます。
    その理想郷(ユートピア)には、学校がありました。
    その学校に通えば、どんな子どもも、パーフェクトになれるという学校です。
    スネ夫やジャイアンの、意地悪なところや乱暴なところは、どんどんなくなっていきます。
    でも、のび太だけは、いつまでたっても、変わりません。
    みんながやさしく応援してくれて、励ましてくれることが、毎日続きます。
    ここまでだと、「ああ、いい学校だ」というふうになると思いますが、この話にはウラがありました。
    この学校がめざしていた「パーフェクトな子ども」とは、
    「言うことを聞く都合のいい人間になること」だったのです。
    まさに、昨日の日記で僕が引用した、鴻上さんの「権力の最高の快感は人間を操縦すること」というのを地で行く設定が、「ドラえもん」の映画の中でなされていたのでした。
    「理想郷」というテーマで、子ども向けの映画で、まさかこういった設定を入れてくるとは、いい意味で裏切られました。
    最近のドラえもん映画も、やりますね。
    物事を立体的に、複合的に見ること、逆の立場から考えたり、批判的に考えたりすることは、とても大事なことです。
    「理想」というのは、表面的によいことのように見えても、実は、ウラがあるのかもしれないのです。
    その恐ろしさに気づかせてくれる、見事な映画だと思いました。
    実は、録画を少しずつ観ているので、まだ観終わっていません。
    最後まで観てみようと思います。

    「学ぶのは子どもだし。『わからない』ことは重要」 ~工藤勇一×鴻上尚史『学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか』その3
     (2019/08/30の日記)
    「常に気をつけていないと、この落とし穴にはまる」 ~鴻上尚史『ロンドン・デイズ』その3
     (2024/03/04の日記)

  • 「面白い○○」の条件 ~鴻上尚史『ロンドン・デイズ』その4

    ​昨日​はちょっと脱線して、映画ドラえもん「のび太と空の理想郷(ユートピア)」の話を入れ込みました。
    この映画、名作です。
    未見の方は、ぜひ観てみてください。
    では、もともと書いていた鴻上尚史さんの『ロンドン・デイズ』の読書メモに戻ります。

    ロンドン・デイズ』[ 鴻上尚史 ]
    【リンクは電子書籍版】
    今回が、第4回です。
    ↓過去記事は、こちら。
    ▼その1 言葉の勉強は、7割が聞くことだ。
    ▼その2 くだらないことを思いっきりやることがおもしろい!
    ▼その3 ​「常に気をつけていないと、この落とし穴にはまる」
    本書の著者の鴻上尚史さんは一流の劇作家であり、演出家です。
    鴻上さんは本書の中で、「面白い小説」や「面白い演技」の条件をこう書かれています。


    ​・面白い小説(マンガ・シナリオなど)を書くためには、
     登場人物の「目的」が明確でなければいけない。​

    ・演技にもこれが応用出来る。
    ​ 面白い演技をするためには、
     「目的」が明確でなければならない。​

    (p260)


    ​さすが鴻上さん、と思いました。
    こんなふうに本質を端的にバシッと言い表せるのは、経験を積まれた大ベテランだからこそだと思いました。
    僕は、人生の生き方にも同じことが言えると思いました。
    目的が明確であれば、面白い人生になる。大笑い
    目的が明確であればこそ、本気で生きられる。ウィンク
    あなたの「目的」は、明確ですか?
    「目的」で僕の過去記事を検索すると、次の過去記事がヒットしました。
    工藤勇一『学校の「当たり前」をやめた。』
    工藤勇一先生の著書『学校の「当たり前」をやめた。』の目次を見ると、第1章と第2章に、それぞれ次のようなことが書かれています。


    第1章 目的と手段の観点からスクラップ(見直し)する
    宿題ーただ「こなす」だけになっていませんか
     /定期考査ー成績を「ある時点」で確定させることに意味はない ほか)
    /第2章 「手段の目的化」-学校教育の問題
    (学校は何のためにあるのか/学習指導要領は何のためにあるのか ほか)


    学校が面白くないとしたら、もしかしたら、「目的」が明確でないのかもしれません。しょんぼり
    もしかしたら、目的と手段を混同してしまっていて、手段の目的化が起こっているからかもしれません。
    星「目的」をどこに置くか。
    ほんとうに、重要です!

    工藤勇一『学校の「当たり前」をやめた。』
     (2021/07/06の日記)
    米光一成『仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本』2~対立は必要である。
     (2010/02/06の日記)
    ↑目的が明確だからこそ、対立も生まれるのですよね。​​ウィンク

  • 「アレキサンダー・テクニック」 ~鴻上尚史『ロンドン・デイズ』その5

    鴻上尚史さんのロンドン留学体験記『ロンドン・デイズ』の読書メモを書いています。
    今回が、第5回です。
    いちおう、今回で一区切りとしたいと思っています。

    ロンドン・デイズ』[ 鴻上尚史 ]
    【リンクは電子書籍版】
    ↓過去記事は、こちら。
    ▼その1 言葉の勉強は、7割が聞くことだ。
    ▼その2 くだらないことを思いっきりやることがおもしろい!
    ▼その3 ​「常に気をつけていないと、この落とし穴にはまる」
    ▼その4 「面白い○○」の条件
    本書のなかで、​「アレキサンダー・テクニック」が出てきたところがあります。
    #「アレクサンダー・テクニーク」という言い方もあります。
    僕は長年整体に通っていますが、整体に関する本もずいぶん読んできました。
    アレキサンダー・テクニックを初めて知った時には、とても感動したものです。大笑い
    本書の読書メモの最終回として、本書に出てきたアレキサンダー・テクニックの要諦を引用させていただきます。


    ・「アレキサンダー・テクニック」の授業では、「自分の体を意識し、自分の体を調節する簡単な方法」を教えてもらった​。​
    ・まず、「」。
     これは、体の重心が下にあるかどうか。​

    ​・次が、「」。
     余計な力が入ってないかどうか。​

    ​・そして、「背中」。
     ちゃんと伸びているかどうか。​

    ・この単純な3つのことを、いつも気にしているだけでも、あなたの体は、ずいぶん、しなやかになる。
    (p323)


    アレキサンダー・テクニックについては、一時期勉強して実践していたのですが、すっかり忘れていました。
    本書を読んで、「やっぱり、大事だよな」と思い直しました。
    過去の読書メモを検索して読んでみました。
    眼をもっと能動的に動かす! ~吉田篤司『首からユルめる!』
    「プレイシング」 ~青木紀和『心と体の不調を解消するアレクサンダー・テクニーク入門』
    やっぱり、いいことを書いてある。(笑)
    今回引用した鴻上さんが受けたイギリスのレッスンでの話と、2021年に読んだ上のリンク先の本の話を覚えておいて、折に触れて思い出すと、生活が一気に変わる気がします。大笑い
    最近、疲れていたので、これで、体を生まれ変わらせることができるかもしれません。
    ​ぜひ、覚えておきたいと思います。ウィンク

    眼をもっと能動的に動かす! ~吉田篤司『首からユルめる!』
     (2021/07/19の日記)
    「プレイシング」 ~青木紀和『心と体の不調を解消するアレクサンダー・テクニーク入門』
     (2021/07/20の日記)

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