今年の全国学力学習状況調査は、機械的にではなく考えて回答することにいざなう
今年の5月に実施された全国学力学習状況調査の問題を解いてみました。
小学校6年生用の、国語と算数。
けっこう驚くことがありました。
新しい時代の教育で求めらるチカラを示唆する良問であったと思います。
問題はこちらに掲載されています。
▼令和3年度全国学力・学習状況調査の調査問題・正答例・解説資料について
(国立教育政策研究所)
【国語】
まず驚いたのは、小説(物語文)がない!
最初の大問は、「調べたことについて,資料を使ってスピーチをする」というものです。
大問2は、「説明的な文章を読み,分かったことをまとめる」。
大問3は、「自分の考えを主張する文章を書く」。
主体的で対話的な深い学びを目指している国の教育を端的に表していると思いました。
記述式の回答が、大問2で2つ登場します。
難しくはありませんが、機械的な書き抜きだと対処できません。
自分で判断して規定文字数に収める必要があります。
回答を長く書く問題が早めの段階で出たなあ、という印象。
逆に、漢字を書く問題は後の方に出ました。
今までだったらこれが逆だった、と思います。
漢字の送り仮名はすでに書かれていて、純粋に漢字のみを書かせる問題。
送り仮名を覚えることはさほど重視されなくなってきたのかな。
【算数】
のっけから記述式での回答でした。
いきなり「式や言葉を使って書きましょう」という問題から始まった!
最初の回答欄が大きいと、プレッシャーがあります。(^^;)
全体的に、計算力よりも、考え方を問われています。
考え方次第で、計算はかなりラクができます。
僕は面倒くさい計算は大嫌いで、なんとかラクをするやり方がないかと考えるタチなので、僕みたいな人向けです。
合理的思考ができると、速く正確に、ミスなく回答できると思います。
こういうのは個人的には良問だと思いますね。
計算力が求められていないことは随所にうかがえました。
立式だけすれば、答えまで出さなくてよかったり、
計算自体は問題の中ですでにされていたりしました。
計算の意味を読み取るチカラこそが、試されています。
立式の際に使わない情報が示されることもあり、情報を取捨選択するチカラも試されていました。
ただ、図や絵が示されていたりするなど、視覚的ヒントも多かったと思います。
考え方の例示もあり、全体的に親切だと思いました。
算数の文章問題って、問題に出てきた数字の順番に立式する子が多いのですが、
学力調査の問題は、さすがです。
わざと出てくる順番を逆にして、ちゃんと数字の意味を捉えて立式できるかどうかを試していました。
立式自体はカンタンで、間違えて立式しても、その式の意味を改めて考え直せば、自分で間違いに気づくこともできると思います。
総じて、正解にいざなおう、気づかせようという問題になっていました。
学力調査というより、つけたいチカラに導くテスト、という印象です。
国語も算数も、全体的に難易度としてはさほど高くないと思いました。
ただ、自分で考えて、自分の言葉で答える必要性があります。
AIが進化してきて、コンピュータでできるような機械的な回答は求められていない、と感じました。
日頃から「自分の頭で考えること」「自分の言葉で答えること」を重視していきたい、と思いました。
▼藤原和博『つなげる力』2~「正解主義」から「修正主義」へ!
(2010/05/09の日記)