「『わかる』ということの意味」~『わかる』ということが、わかっていますか。

昨日の日記で、

「わかる とは、 かわる こと」

という、高木善之さんの言葉を引用しました。

それに関連づけて、

「分かる」ということをテーマにした教育書、

佐伯胖(さえきゆたか)『「わかる」ということの意味』、1983、岩波書店

を紐解いてみました。

(▼今手に入るバージョンは・・・
岩波書店、『
子どもと教育「わかる」ということの意味新版』
 1995,1800円)
【目次】

1 大人はわかっているのか?/2 子どもはわかろうとしている
/3 「わかる」ことから「なっとくする」ことへ/4 何のためにわかるのか―文化的実践への参加 )

(リンク先は新版ですが、私が読んだのは旧版です。
 ページ数は、違っているかもしれません。)

 同書p110より
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「ほんとうは、君にはきっとすばらしい能力があるのだ」
本気で信じてくれる先生や親がいてくれれば、
ボクもそんなに不安がって、
「能力なし」とされまいとツッパることに忙しいということには
ならないと思います。

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親が子どもにしてやることで一番大事なのは、信じることだ、
というのは、斎藤一人さんの近著でもふれられていました。

(これは昨日読み終わった本です。斎藤一人『普通はつらいよ』 )

このテーマは大変奥深いものなので、
こうやっていろんな本を関連づけて徹底して追求していくと、いいかもしれません。

「教育」の根本を考えることであると思います。

逆に、これを全く深く考えずに「ただ教えているだけ」という
教育になってしまった場合、それは大変危ういことのように思います。

以下、佐伯先生の本より引用を続けます。

p118より
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親や先生たちが、子どもから学び、子どもを原因としつつ、
自らも変わり、子どもへのはたらきかけをしていく、

という感覚があふれている環境をつくることこそ、
今日何よりも必要なのではないかと思います。

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ここで、「変わる」という言葉が出てきました。
しかも、本人が変わることの前提として、「周りが変わる
ことにふれられています。

大変示唆的です。 

「わかる」「できる」「変わる」ということは、
具体的にどのケースでどういうことか。
これは突き詰めていく必要があるのではないか?

具体的なケースは本の中を読んでいただくとして、
まとめ的なことを、本の終わりのほうよりどんどん引用していきます。

p170より
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「本当にわかる」「本当にできる」ためには、
まさにこの「できること」と「わかる」ことの相互作用
活発にならなくてはならないのです。

しかし、そのためには、
「中心的な問い」を適切に入れかえる必要があるのです。

あるときは思い切って「できるようになること」に専念し、
別のときには「わかるようになること」に専念し、
しかも、その行ったり来たりをしながら、
それらを通して自然に「わかる」ことや、
自然に「できる」ことを自覚しなおすことがなければならないのです。

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ここの部分だけ読むと抽象的ですが、
具体的な経験・エピソードを思い起こしながら、
自分の頭の中にリンクを張っていってほしいのです。

もしかすると、昔わかっていて、今は忘れてしまったことが、
再び戻ってきたかもしれません。(^^)

 

ちなみに、具体的な「わかる」方法論の中には、

p182に、

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視点を意識する :「納得する」ための重要な手がかり
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ということが書かれています。

また、再三にわたって、「わかり直し」という言葉が使われます。

p193

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・私たちは人生の途上で何度も何度も「わかり直す」べきなのです。
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そうすると、そもそも「学校」とは何か

 

そういった、広く大きなところにまで行き着きます。

 

そもそも「学校」とは何か、「教育」とは何か。

日々具体的な細かなことで悩みながら実践を積み重ねていると、
つい目の前のことに追われるのみで、
こういった大きなこと、原理・原則的なことを見失ってしまうことがあります。

己の戒めに、今こういった本をもう一度読み返してみてよかったです。 

p212以降より(部分引用を配し、覚えておきたい点をまとめた)
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・学校というところ:
  生涯を通して学び続けるための準備をするところ

・学校で学ばなければならないこと

 (1) 自分が何を学ぶべきか選択できること

 (2) 自分で自分の学びが正しいか否かを判断できること

 (3) 他人や社会と交渉をもち、
    社会や文化から新しい知識を吸収できること

・学問というもの:

   「ほんとうだとされていること」を学ぶことではなく、
  まさに、自分自身で、本気で、
  「何が本当なのか」と問うこと、問いつづけること

 

・他人から「感化を受ける」ことができるためには:

  (1)何が本当に価値あることかを求めつづけること。

  (2)「表面的なこと」の背後には、常に、
    「表面に現れていないこと」があるはずだと考え、
    それがどんなものかを知ろうとすること

  (3)ものごとには常にさまざまな側面があり、
    「かくかくしかじかである」という断定は
    できうる限り保留し、
    いつでも、根本から考え直すことを辞さない覚悟をしていること。

  =一言で言ってしまえば、「無知の知
                (自分が無知であるということの素直な受容)

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非常にテーマが大きくなったところで、
今日はこのへんで。

ところでこの本、なんと古本屋で105円で買ったんですよね。

全くお買い得でした。

定価で買ってもいい買い物なので、
ぜひこれを読まれた教育関係者の方は、
今手に入る新版を買って読まれることをおすすめします。

佐伯先生の本は、他の本も、具体性に富んでいて読み物としてもおもしろく、
基本をおさえたり、大事なことを確認する上で最適です。
おすすめの教育学者さんです。

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