iPadを使った通級授業「きもちをおちつけて、集中しよう」

気持ちがあせって、なんでも速くやってしまう子がいます。
それはそれで、その子の個性なのですが、速くやってしまうので雑になり、ケアレスミスも多くなるので、テストとかでは、とれるはずの点数がとれなかったりします。
落ち着いて丁寧にやれば、実力的には80点なのに、65点になってしまうとしたら、くやしいですよね。
そういう子たちのために、たとえば通級教室で「気持ちを落ち着けて○○する」というトレーニングをすることがあります。
今回は珍しく僕の授業の実践報告です。
ICTを自分の授業の中でどんな風につかっているのか、報告する必要があったので、まとめたものです。
せっかくなので、ちょっと編集して、共有します。
「こういう目的でiPadのアプリを教材として使っている人もいるんだな」くらいの感覚で、読んでもらえたらと思います。


ある日の通級授業
「きもちをおちつけて、集中しよう」
<本時の目標>
教師やタブレット機器からのフィードバックをもらいながら、注意深く見たり聞いたり書いたり考えたりする。
<使用する機能等>
iPadを使用:カメラ、写真(マークアップ機能)、「ひとコマ漢字」、「じゃんけん将棋」
<ICT活用のねらい>
・その場で撮ったノートの写真は具体的な見本を書いて見せるために使う
・「ひとコマ漢字」は手書き漢字テストの文字認識精度がよく、きれいに書けたかどうかのAIによるフィードバックも信頼できる。
・将棋の対戦相手を人間ではなくAIが務めると、思考レベルがどの程度向上したかの指標が明確に得られる
<授業の流れ>
1. 注意深く聴くトレーニング
・文章の読み聞かせを聞いて頭の中にメモを取り、質問に答えることを5問おこなう。
 (対象児童が選んだ本の中から、あるページを読み聞かせ、その記述内容について後で質問をした。)
2. 算数の分数の計算で途中の式を書くトレーニング(ノートに書く)
(この項目は、児童の普段の学習と直接つながりのある内容)
・最初の3問は教師が書いてやったものをする。
 後の問題は教師が書いたものと同じように自分でも「見やすい式」を書いてから取り組む。
・間違ったものは、気持ちを落ち着けてやり直す。
・教師は児童のノートを写真に撮ったものにマークアップ機能で書き込み、随時見本を見せる。
3. iPad「ひとコマ漢字」(児童の学年の漢字)
・筆順に気を付けて画面上に漢字を書く。
・今後も正しい筆順で書けるように、「女は、くの一」などの聴覚的ヒントを教師から声掛けしてもらい、筆順を覚えるきっかけとする。
ゆっくり丁寧に書くと結果判定で★がもらえるので、それをめざしてゆっくり丁寧に書くことを意識する。

iPa小学生の手書き漢字学習 : ひとコマ漢字
(App Store)
4. iPad「じゃんけん将棋」
・自分で難易度を選んで、コンピュータと対戦する。
・状況に応じて指し手を考えて、相手に勝つことを目指す。
・見落としがあると負けにつながるので、盤面全体を注意して見ることを心がける。
・一度負けても、悪かったところを反省してから再度挑戦する。
・コンピュータ対戦で気づいたことを踏まえて、教師と対戦する。

対戦!じゃんけん将棋
(App Store)
5. ふりかえり
・本時のふりかえりをする。
・本時以外のことでも、学校生活で気になることや、前回の通級以降にあった出来事などを話す。
<補足>
・ICTのみを使用した通級指導は、原則として行っていない。
 今回も、部分的に使用している。
・算数の普段の学習で「途中の式を書かずに間違えてしまう」と担任から聞いていたので、途中の式を書くことをあらかじめ示してから計算をさせたところ、ちゃんと計算できるようになった。


<補足の補足>
​僕の通級では基本的に最初に「普段あったこと」を子どもに聞くのですが、なぜかこの日は最後に聞いていました。
iPadは毎時間ふんだんに使っているわけではなく、いつもは最後の5分とかだけ使っていますが、この日は珍しく長めに使っていました。
将棋型の思考ゲームは、「じゃんけん将棋」のほかに、「どうぶつしょうぎ」のアプリ版もよく使います。こちらのほうが、難易度の段階がかなり小刻みに分かれているので、上達がより一層はっきり分かると思います。

どうぶつしょうぎ
(App Store)
GIGAスクール構想の端末としてiPadが入っている自治体もあるようですので、ご参考になれば、幸いです。大笑い
通級でなくてもできる内容がほとんどなので、児童がiPadを手元に持っているようなら、普段の取組として自主的に続けることで、より一層効果は期待できると思います。

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