授業づくりネットワークNo.25『インクルーシブ教育を実践する!』

今週の月曜には、念願だった石川晋先生による研修会を行いました。
任意参加の自主研修会で、勤務市内の多くの方に参加を呼びかけました。
他の自主研修会とかぶってしまったこともあり、オンラインとオフラインを合わせて10人という少人数でしたが、少人数だったからこそ参加者が意見を出しやすかったこともあり、とてもいい研修会になりました。
石川晋先生は、授業づくりネットワークの理事長を務められています。
僕は、授業づくりネットワーク主催のセミナーには過去に何度か参加させていただきましたが、「授業づくりネットワーク」誌は、購読していませんでした。
今回、ご縁があったことをきっかけに、興味があるテーマを扱っている「授業づくりネットワーク」誌を購入し、読みました。その中の1冊が、今回のタイトルである、この本です。

『授業づくりネットワーク(No.25) インクルーシブ教育を実践する!』
(藤川大祐 編著、通巻333号、学事出版、2017、1400円)
▼​出版社公式サイトによる書籍紹介
「授業づくりネットワーク」誌は、10年以上前に何度か手に取ったことはあったはずですが、新しい装丁になった今のバージョンには初めて触れました。
雑誌というより、思いっきり、「本」になっていました。
A5サイズで、おしゃれで、読みやすく、保存に適した装丁です。
本棚に並べるのが、楽しくなります。大笑い
「授業づくりネットワーク」についての詳細は、以下の公式サイトをお読みください。
▼授業づくりネットワーク
 ​https://www.jugyo.jp/
さて、「インクルーシブ教育」です。
昨今はこれをテーマにした本がかなりたくさん出るようになりました。
本書も、「インクルーシブ教育」を概観し、再考し、実践を問い直すうえで、またとない本になっていると思いました。
「特別支援教育」の分野で何度もお名前をお見かけする方が、軒並み寄稿されておられます。​
まずは、力強いタイトルから、勇気をもらいました。
『インクルーシブ教育を実践する!』ウィンク
インクルーシブ教育は実践が一番難しいのです。
「理念としては共感するが、目の前の子どもたちと今の教室でどう実践していけばいいのか」と悩まれている方が多数いらっしゃると思います。
今の世の中の大多数の悩み・問題意識に合致する、見事なタイトルだと思います。
僕は速攻でポチりました。(笑)

では、本書の中から、いくつか、覚えておきたいと思ったところを、引用・紹介させていただきます。


【巻頭対談】
川上康則×野口晃菜「インクルーシブ教育を実現するために必要なこと」より
・目指す方向性としては、​「排除のない社会のための教育」​
(p2)
私はいつも子どもから学び、教師として成長させてもらっていると思っていますから、子どもを自分から選ぶというような発想は持っていない
(p4 川上先生の言葉から)
・いわゆる気になる子よりも周りの子のほうが優先順位としては先なんだ
・「”気になる子”を気にする子」を先に考えていかないといけない
(p7 川上先生の言葉から)


方向性を見据える、というのを、再確認しました。
社会をインクルーシブなものにするためにも、決定的に重要だと思うのが、やはり「(教育する)子どもを自分から選ぶ」というような、選民思想のようなものがあることに気づき、それを改めていくことだと思います。
月曜夜のイタリアのインクルーシブ教育についての学習会でも、「イタリアではすべての子が通常の学校に入学してくるので、どんな子が入ってくるにしても、入学してくる子に合わせて用意をしている」という話がありました。
日本でも、それは当たり前のようにされている学校が、ほとんどだと思います。
どんな子どもでも受け入れる、というのが、前提として、素地として、まずある。
このことがやはり基本だな、ベースだな、というふうに思います。
そのうえで、「実践」の話があります。
本書が特徴的なのは、幼児教育から高等教育までの具体的な実践の話が、それぞれの立場から載っていることです。


​■インクルーシブ教育を推進するための各学校段階におけるキーポイント

  1. 幼児期におけるインクルーシブな教育・保育/久保山茂樹
  2. 小学校におけるインクルーシブ教育/田中博司
  3. 中学校におけるインクルーシブ教育
     ~「個別化・協同化・プロジェクト化」をものさしに一歩ずつ進めていきたい~/石川 晋
  4. 高等学校におけるインクルーシブ教育
     ~インクルーシブな高校づくりの試み「対話のフロントライン」を基点として~/中田正敏
  5. 大学におけるインクルーシブ教育
     ~ナラティブ・アプローチの視点から~/齋藤清二

(公式サイトによる「目次」より)


特別支援教育が始まったときに、ライフステージをまたいだ支援、貫く支援といったことが盛んに言われていました。
自分の所属校種だけでなく、子どもが来た道、これからたどっていく道を、イメージできていることは、大きいと思います。
特に、就学前教育では、「統合保育」という言葉があるように、インクルーシブ教育が、自然とできていたり、それが当たり前だったりするものです。
この特集の中で「幼児期におけるインクルーシブな教育・保育」を書かれている久保山茂樹先生が、
特別支援教育は幼児教育そのものである」(p68)
と言い切られているのが、印象に残りました。
つながりを意識しながら、子どもが途中で排除されてしまうようなことがないようにしたいと思います。
あったはずのつながりを、無自覚な大人が切ってしまう、ということは、絶対に避けたいです。

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