自分たちで自由に考えて完成させる曲がある ~『全日本吹奏楽コンクール名曲・名演50』
前回の記事に続き、音楽関連です。
今回は、吹奏楽。
僕は大学時代に吹奏楽をやっていました。
パートは打楽器です。
吹奏楽曲っていろんなバリエーションがあるんですよね。
たとえば次の本を読むと、その世界の幅広さに、大変驚かされます。
『一音入魂! 全日本吹奏楽コンクール名曲・名演 50』
(河出書房新社、2007、税別1700円)
なかでも一番驚いた曲が、本書の「課題曲」編で取り上げられている
「雲のコラージュ」です。
なんと、吹奏楽コンクールの課題曲にもかかわらず、譜面が空欄だらけ。
「演奏者が、自分たちで自由に考えて完成させる」課題曲なのだとか。
(本書p222より)
どうやら小編成のバンドから大編成のバンドまで、各自の編成事情に応じて柔軟に演奏できるようにという配慮だった模様。
ちなみに、打楽器パートはすべて楽譜が空欄だそうです。
自分たちで考えて演奏を作る。
ううむ、おもしろい!
僕は作曲が趣味なので、こういうのはぜひ、やってみたくなります。
↓この曲の代表的な演奏は、こちら。
YouTubeのサイトに移動して、コメント欄をのぞくと、
「私がこの楽曲を演奏していたら、私も合唱を導入していた」
「雲のコラージュは編曲OKな課題曲だったから、各校各団体がいろんな形で作ったから個性があって面白かったですね」
といった、この曲ならではのコメントが見られます。
コロナの流行によってマスクを外す活動にかなりの制限が加えられ、学校の音楽の授業では「作曲」の活動がマスクをしながらできる活動として急遽取り入れられてきている経緯があります。
作曲や編曲は技術がないとできないと思われてしまいがちですが、
そんなことはありません。
大事なのは、表現したいという気持ちです。
自分たちに合った表現を、楽譜にない音を加えることでやってもいいよと言ってくださった画期的な課題曲。
こんなふうに、それぞれが自分に合わせて柔軟にやっていくということを、僕はとても大事なことだと思うのです。
ちなみにこの曲を作られたのは、櫛田(くしだ)てつのすけさん。
この方の別作品「火の伝説」は、大学時代に演奏した思い出の曲です。
この本を読んで、櫛田さんはジャズ曲「テイク・ファイヴ」の吹奏楽アレンジもされていることを初めて知りました。
1人の作曲家の中にも、いろんな面があることがうかがえます。
これだから音楽は面白い♪
ちなみに、僕が吹奏楽コンクールの課題曲で大好きな曲は、次の3曲です。
「風紋」
「ディスコ・キッド」
「ムービング・オン」
3曲ともこの本に解説が収録されていて、大変興味深く読ませていただきました。
それにしても僕の大学時代には吹奏楽曲を聴くにはCDを買うしかなかったですが、今はネットで無料で聴けるものもずいぶんあるし、AppleMusicなどの聴き放題サービスに入っていれば聴けるCDも山ほどあります。
今の吹奏楽部員は、そういう面では、恵まれていますね。
いろんな曲を聴いて、自分たちの表現をぜひつきつめていってほしいと思います。
今回紹介した本ですが、なんと、続編が出ていました。
さっそく注文し、本棚に並べています。
中学高校時代に吹奏楽部だった人、
今は楽器をしていなくても、久しぶりに吹奏楽の思い出にひたってみるのも
いいのでは?
『一音入魂! 全日本吹奏楽コンクール名曲・名演 50 part2』
(河出書房新社、2008、税別1700円)
上のリンク先の商品紹介を見て思い出しました。
「スター・パズル・マーチ」も忘れられない課題曲です。
僕はコンクールに出場したのは2回しかないのですが、
課題曲は好きで、課題曲だけを集めたCDをよく聴いていました。