自分らしい生き方を取り戻す ~わたなべぽん『自分を好きになりたい。自己肯定感を上げるためにやってみたこと』

僕の住む市には、いくつか図書館があります。
ふだんよく行く一番近い図書館とは違うところに行ってみると、
なんとコミックエッセイが大充実していました。
冊数上限の10冊を借りてきました。
その中の、最後の1冊を、読み終えました。
その本を紹介します。

『自分を好きになりたい。 自己肯定感を上げるためにやってみたこと』
(わたなべぽん
、幻冬舎、2018、税別1000円)
コミックエッセイというのは食レポだったり、旅レポだったりするものが多いのですが、この本は、著者の「生きづらさ」をシンプルなかわいいイラストで表現し、その「生きづらさ」を自分なりの工夫で少しずつ解消していかれたエピソードが書かれています。
冒頭に、「知っている人を見かけると避けてしまうエピソード」が出てきます。
僕にも全く同じことがあります。
だから、自分に向き合うつもりで、借りてきました。
結果的に、10冊の中で一番、「読んでよかった本」になりました。
マンガの中では、自分の子どもの頃がにゅるんとイメージの中で出てきて、そのイメージが喜ぶことをしよう、と決め、実際に行動していくところが描かれています。
子どもの頃の自分の声を、大人になった自分が聞いてあげる。
子どもの頃の自分と向き合い、結果的に今の自分をも、癒していく。
「自分なんて・・・」と思ってしまうことがある人には、もしかしたらすごく響く本では、と思いました。
おそらく、心理学の本などでも、本書の内容に似通った癒やしの方法なり理屈なりが書いてある、と思います。
ただ、こういう内容をマンガで読める、というのが、すごくいいのです。
しかも、当事者の生の声であり、生の体験談です。
マンガだからこそ、喜怒哀楽の分かりやすい表現をつたって、ストレートに響いてくるのです。
悩みだけで終わらず、基本的には「解決」が感じられる体験談ですので、理想的なほっこり感が醸し出されています。そのため、心にすっと、入ってきます。
癒されている著者を見て、読者も癒されるのです。
僕自身は、小学生時代、ほとんど話さない子どもでした。
外向的か内向的かと言うと、100%内向的な方でした。
友達と遊ぶことはありましたが、つながっている感覚は薄かったです。
1人でいることや、人と違うことを好みました。
だからこそ、「自分が自分の一番の友達」みたいなところがありました。
本書の著者は実母から虐待を受けていて、そんな過酷な環境とは比べようもありませんが、自分の過去を振り返って自分の人生を生き直すところからは、「自分もあれから自分を変えてきたんだな」と振り返ることができ、改めて自分を認めてあげることができました。
本書のエピローグでは、たまたま放送大学で聞いたという、次のメッセージが書かれていました。
「つらい体験をして心にダメージを負った方は
 日常生活を営むことすら困難になってしまうことがありますが
 でもそんな方々が 自ら立ち上がり 行動をするとき
 どんな人よりも思いがけない工夫や前向きさを発揮して
 自分らしい生き方を取り戻すことができると
 私は思っています」
 (p107)
このメッセージは、著者を大変勇気づけましたが、
同時に、読者も、大変勇気づけられると思います。
過去の自分、幼少期の自分を好きになれなかったり、トラウマを抱えていると思っている人は、ぜひ、読んでみてください。
あなたの中のあなたが、元気になると思います。

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