『学校アップデート  情報化に対応した整備のための手引き』

GIGAスクール構想に関する記事を今まで書いてきた中で、2度紹介させていただいた本。
​​​『学校アップデート』。

『学校アップデート  情報化に対応した整備のための手引き』
(堀田 龍也
ほか、さくら社、2020、税別1700円)
発行から1年が経ちましたが、本書の中の情報は未だに古びていません。
先進的な取組が多く記載されており、しかもその全てが具体的なので、
「できるところから、少しずつ」
をめざす多くの学校に、この上ない参考書となっています。
僕が通級の巡回指導に行っている学校でも、
「ICT活用の研修に使えるいい本、ないですか?」
ときかれたら、迷わずこれをオススメしています。
今回は本書の内容を少し引用し、「ICT活用で学校現場にどんなメリットがあるのか」といったことを再確認していきたいと思います。
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『学校アップデート』
読書メモ ロゴ
<「学びの個別最適化」の事例>
・すべての問題は自動出題
・ヒントを表示するボタンなども用意されている
・本時の学習内容を早く終えた児童は、アダプティブドリル教材
・間違えた問題に合わせて次の問題が出題される

​​
(p21より)​​
スマイル
小学校算数での導入事例より、「こんなことができる」という例を抜粋しました。
  具体的な教材名とかは伏せておきますので、本書を直接ご覧ください。
  「​個別最適化​」については、僕は大変期待をしています。
  これって、いわゆる特別支援学級では、できているんですよね。
  子ども一人ひとりは、みんな違うんだから、それに合わせた教材が必要なんです。
  でも、通常学級の一斉授業の中では、そういったことが無視されてきた。
  ところがICTを使うと、実現可能なんです。
  やらない手はないです!
  実際、僕は通級教室で同じようなことを、パソコンを使って長年やってきました。
  ヒントを見るか見ないかを子ども自身が主体的に決められる、というのも、けっこういいのです。
  対人だと、教師が勝手にお節介を焼いて、教え過ぎてしまうことがあります。
  対人でしか学べないことはありますが、「関わりすぎ」が子どもの主体性を奪ってしまうこともあるのです。
  なお、ドリルをICT化することにより、教師側は自動採点で結果だけ見られるのでラクができるということもあります。そちらは副次的な効果ですが・・・。
  ↓本書の最後にもドリルのことが書かれていたので、そちらも引用します。


・ドリルや宿題を回収し先生が確認する目的の1つは、児童生徒がどこでつまずいているのか把握し、指導上の手立てを検討することです。
・デジタルな方法で課題を提出し、学習履歴を蓄積することで、AI等も活用し、指導方略の目処をつかめるようになります。

​​(p126より)​​
ぽっ非常に重要なキーワードがいくつか出てきました。
  そもそも、学習は何のために行うのか?
  その本質を理解して、ICTを使う方がよければ使っていった方がいいんじゃない?と思います。

  今やっていることをICTで代替するのは、その方がメリットがあるから。
  そのメリットを知らずに今まで通りノート提出をさせて、先生たちが家に持ち帰って夜中までノートを見たりテストの採点をしたりしているようでは、前時代的な働き方と言わざるを得ません。
  先生たちよ、自分たちのためにも、子どもたちのためにも、ICTを使っていきましょう!
  

​<「朝ノート」の事例>
・「元気です。むしにさされた。」などの朝ノートを書いていきます。
・みんなに受けそうな画像や自分の好きな画像を貼り付けている児童もいました。
・他の人の朝ノートを読むことで、クラスメイトとの距離が縮まります。
・教室での 距離を超えたコミュニケーション が可能になります。​

​​
(p24-25より)​​
小学校の朝の健康観察での日常的な活用から、引用しました。
  この取組は、該当校のオンラインセミナーで事前に聞いていたのですが、
  「これは、いい!」と思いました。
  僕の勤務市だと、小学校は「元気です。」とか言うだけなのですが、
  中学校だと、日直が日誌に書くというのをやっています。
  日誌が担任との交換ノートみたいになって、コミュニケーションツールになっているのです。
  ただ、全員が日記や日誌を書くと、40人学級の担任は読むのに時間がかかってしかたないので、普通は「朝ノート」みたいなことを、全員に書かせて毎日提出させるようなことは、しません。
  それが、ICTだと、瞬時に情報共有ができて、後からでも見られるので、非常に手軽に実現できます。
  画像や(^o^)マーク、スタンプなども入れられるので、いいですね。
  そしてこれが素晴らしいのが、コロナ感染で休校になったり、分散登校になった時にも、同じことができることです。
  「距離を超えたコミュニケーション」は、ICTの大きな利点です。
  この夏休みも、子どもによっては持ち帰ったタブレットにせっせとメッセージを書いて、コミュニケーションをとろうとしていた子がいました。(これは僕の勤務校の話)
  子どもは、話したいのです。
  コロナで対面でのコミュニケーションを制止するなら、せめてICTでのコミュニケーションを、代わりに保障してあげたいところです。
  不登校の子どもたちとつながることにも、使えます。
  障害のある子どもや入院している子どもが同じ場所で学べない場合に、つながりを保つためにも、使えます。
  ICT活用の最大のメリットは、コミュニケーションなのです。
  このブログ自体も、そうですね。(^^)
  読んでもらえると思うから、うれしいし、どんどん発信するようになる。
  自発性や意欲につながるICTの使い方は、とてもいいと思っています。
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まだまだ引用したり紹介したりしたい内容はあるのですが、これくらいにしておきます。
とにかく買って読んでみられることをおすすめします。
公式サイトは、こちら!

▼​「学校アップデート――情報化に対応した整備のための手引き」
 (さくら社公式サイト)

目次や、付録の表「学校アップデートへのステップ」が見られます。

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