細貝駿『小学校教師を辞めて、世界の学校を回ってみた』
約2か月前、非常に興味深いオンラインの教育系イベントがありました。
「小学校の先生でもできるんです」
登場されたのはおふたりの先生。
1年間をかけて世界の学校・教育現場を回られた「世界一周先生」。
現役先生なのに1年目に起業された「社長先生」。
イベント内では、社長先生に関しては
「一般社団法人なので厳密には”社長”と言わないのでは」
というツッコミもありましたが、細かいことはいいんです。
既存の枠を超えて「こんなことができるんだ!」という夢を感じられるイベントで、大変よかったです。
おふたりの先生とは、これを機会にFacebookを通じて「お友達」登録させていただきました。
ありがとうございます。
そして8月下旬。
「世界一周先生」こと細貝駿先生をゲスト講師にして、僕が主催する市内教職員の自主研修会を開催します。
日時は、8月20日(金)午前 10:00~11:30。
僕の勤務市の教職員であれば誰でも参加可能です。
条件に当てはまる方で参加したい方はぜひご連絡くださいね。
僕の勤務市の教職員でない方でも、ご安心ください。
誰でも参加できるオンラインイベントがその2日後にあります。
大規模イベント「未来の先生フォーラム」内のプログラム
■世界の学校と日本の学校から考える「より良い教育」とは何か?
https://bit.ly/3rqStwI
日時は、8/22 (日) 午後 16:00 – 17:00。
参加費は1000円です。
参加申し込みはリンク先の上のほうにある「参加申し込み」から。
細貝先生が世界一周で感じられたことを多くの方に伝えていただけるのをうれしく思っています。
そんな細貝先生の著書が
『小学校教師を辞めて、世界の学校を回ってみた』
『小学校教師を辞めて、世界の学校を回ってみた』
(細貝 駿、セルバ出版、2021、税別1700円)
ずいぶん前に読み終わっていたのですが、イベントの告知に合わせて、満を持してここにその読書メモを公開したいと思います。
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『小学校教師を辞めて、世界の学校を回ってみた』
(・の後の太字部分は本書からの引用、
その後の緑文字部分は僕の意見や感想です。)
・手を挙げたり、自分で椅子を倒したりと、小さな行動を自分の意志で行うことがとても重要だ。
・「自分で思考し、選択し、行動し、物事を前に進める経験サイクル」の積み重ねが「自ら考えて行動する力」を養うことになっていく。
(p35より)
非常に共感できた部分です。
今の世の中、便利になりすぎているので、特に日本では自分でわざわざ行動しなくても普通に生活できてしまうことが多いです。その点、外国のほうがまだまだ、ちょっとしたことを自分でやらないといけないことが多いようです。
日本の教育や日本の社会は、実は「自ら考えて行動する力」を奪ってしまっているのかもしれません。
細貝先生は、オランダの電車の椅子は自分で出して座るものだったというような具体的な経験から、こういった気づきを書かれています。
こういったことをシェアしていただくことで、世界を知らない僕たちでも、日本の教育や社会を改めて見つめなおすことができると思います。
・海外の学校の授業を見学していて、教師がやりたいこととは全く別のことをしている子どもがいた。
(p38より)
・自分の都合で子どもの学びを奪わない
(p39より)
日本に比べて海外のほうが圧倒的に、子どもたちが自由に学んでいると感じられる場面が多いようです。
これも非常に大事なポイントだと思いました。
日本はまだまだ大人数の教室が多く、教師の都合でやることを押し付けてしまうことも起こりやすいです。
世界の教育を学ぶ際に、僕が一番知りたいこと。
それは、世界の学校は「個」としての子どもをどのように尊重して教育を進めているのか、ということです。
僕は大学図書館というところが好きで、一時期よく行っていました。
大学図書館で一番調べていたのが、世界の学校での教育です。
大学図書館だとDVDも観られるので、映像で観たりもしていました。
やはり、日本とは違うやり方をとっている学校が、多い。
日本の教育はどの学校でも平等に同じ教育を受けられることを重視しているために、画一的・均一的なところがあるのですが、よりよい教育を目指すためには、やはり「ほかのやり方」も知っておいたほうがいいと思っています。ほかのやり方を実際にとるかどうかは別にして、知っておくことは、少なくとも教師の幅を広げます。
多様な子どもたちと向き合って教育活動を続けていくためには、教師としての「幅」は絶対に必要です。
・先生が不得意なことを教えるのであれば、ICTが発達している現代では、様々なツールをつかったほうがよい
(p46より)
世界の教育を学ぶ際に、今なら特に注目しておきたいのは、ICT活用ですね。
日本でも「GIGAスクール構想」と言って、1人1台端末が児童生徒一人ひとりに配られましたが、これも元々は日本が世界格国に比べてICT教育の分野で非常に遅れていたからです。
では、世界の教育現場では、ICT活用がどのように進んでいるのか?
これを実際に知っておくことは、ICT後進国としての必須事項です。
僕は細貝先生の本を読む前にも、外国でICTを使って教育を進めてきた事例をいくつか本で知りました。発展途上国の子どもたちが、ICTを使うことで、みるみるうちに学力をつけ、ムラで初めての大学生が誕生するというような事例が、いっぱい起きていました。
ICTは、手段にしかすぎませんが、非常に夢のある手段です。
ICTがなかった場合には不可能だったことが、可能になっているのです。
ドラえもんがひみつ道具で夢を叶えていたのと同じようなことが、実際に起きているのです。
・ヨーロッパや北欧の人は とにかく余裕のある人が多かった。
(p83より)
・オランダの学校に行った際、校長先生が、こう言っていた。
「僕は週4日働いている。妻は週3日働いている。合わせて1週間だろう。それでよいじゃないか? だって家族との時間、恋人との時間、趣味の時間は大事じゃないか?」
(p103より)
日本の教育現場の課題はいくつかありますが、「余裕がない」というのは、かなり大きな課題です。
もちろん学校によって違うのでしょうが…。
学校だけでなく、社会全体で、日本の大人に余裕がないように思います。
だからこそ、海外の事例に学ばなければなりません。
個人的に、一番欲しいのが、「余裕」です!(^0^)
以前、このブログで『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』という本を紹介したこともありました。
勤務時間を少なくすることだけが余裕を作ることではありませんが、余裕がないとミスを連発したり、ちょっとのことでイライラしたりしてしまうことにつながるので、余裕を持つのはかなり大事だと思います・・・。
↓次が、最後の引用です!
・人にはそれぞれ居心地のよい体勢と空間がある
・リラックスした状態で思考が働きやすい体勢、空間をつくればそれでよい
・そもそもなぜ日本は「よい姿勢」を好むのか?
(p115より)
さっきの「余裕」の話にもかかわってくるかもしれませんが、いつも姿勢を気にしている自分がいます。
自分なりには「よい姿勢」にそれなりの理由を感じていますが、果たしてそれが万人に共通のものなのか? 世界の教育を見てぜひ実際に確かめたいという思いを強く持っています。
日本では当たり前になっていることについて、そもそもなぜそうなのか?と「そもそもを疑う」ことは、学び続ける人にとって必要な姿勢だと思います。
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いかがですか?
小学校教師である著者が、教職を一旦辞しておこなった1年間の世界各国の学校行脚。
その行動力と世界からの学びから、学ぶことがたくさんあると思いませんか?
日本の教育のあり方について一度立ち止まって見つめ直すためにも、ご一読をおすすめします。
教師としての働き方を考え直すきっかけにもなるかもしれませんよ。
また、細貝先生は世界一周仲間55人と一緒に自主製作本も作られています。
その名も『ROUTE55』。
オールカラーで世界の絶景や驚きの写真が堪能できて、55人の旅人の体験談や旅からの気づきを読むことができるこの本は、自主製作本としてはあまりにもクオリティが高すぎてびっくりです。
素晴らしい本なので、こちらもぜひ多くの方に手に取って読んでもらいたいと思います。
ただ、『ROUTE55』のほうは一般の本屋さんに流通していませんので、SNSなどでご本人に直接注文する必要があります。僕に連絡してくださいましたら仲介しますが、気さくな先生なので、面識のない方でも、気軽に連絡を取ってみてください。
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