「『学童保育』の現在と独自性について」 ~『連携と協働の学童保育論』5
『連携と協働の学童保育論
ソーシャル・インクルージョンに向けた「放課後」の可能性』
(三好正彦、2012、解放出版社、2000円)
この本の読書メモを書いている途中です。
今回は、実践記録というより、「学童保育とは」という
基本の部分になります。
今回ですでに第5回。
第1回読書メモはこちら。
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『連携と協働の学童保育論』
5
(p94~114 第2部 第4章より。
・以降の太字は本の内容。
顔マークのあとの緑文字は僕の個人的コメントです。)
<第2部 第4章
「『学童保育』の現在と独自性について」より>
▼学童保育の現在までの概要
1950 記録上最初の学童保育所(法的な措置を待たずにスタート)
1976 初めて政府から補助金が「学童保育事業」に支給される
1997 児童福祉法の一部改正によって、
「放課後児童健全育成事業」として法制化
(国の公な事業となる)
2007 「放課後子どもプラン」
(学童保育とは別に、子どもたちの放課後生活充実のために
安全で健やかな居場所づくりを推進する事業。
学童保育との一体化については
全国学童保育連絡協議会(全国連協)が反発。
教育委員会主導ではなく福祉部局と対等な関係で連携を図ることを主張)
▼これまでの「学童保育研究」
・親の帰宅時間の遅延化=学童保育における遊びが
子どもの遊びのすべてとなる
→学童保育施設は家庭に代わる居場所として、
外遊びを含めた放課後の豊かな遊び場を提供し、
同時に休息・気晴らし行為を保障する場であらねばならない
(塚田・小伊藤、2007)
・今日、地域が失われ、家庭すらも危ぶまれる状況にある中で、
地域家庭の両翼に在る「学童保育」は、
学校教育と連動しつつ確かな子どもの育ちをつなぐものでなくてはならない。
(森、2007)
▼「学童保育」とは――定義と課題
(定義)
・「共働きなどにより昼間親が家にいない家庭の学童(低学年)を、
放課後や休暇中に保育すること」(新村編『広辞苑 第6版』、2008)
(課題)
・法制化以後13年間で施設数2.1倍、入所児童数2.5倍(全国連協、2011)
・適正規模とされている40人以下の学童保育は全体の半数
・1施設あたりの指導員は3.86人(全国連協、2007)
・指導員は、身分が不安定な非正規職員が増えてきている。
公営の指導員の91.6%が非正規職員で、何年働いても昇給はなく、
平均年収約150万円以下の低賃金の指導員は51.8%
(全国連協、2007)
・学童保育の業務内容は子どもの生活を守ることに加え、
家庭へのサポートや相談など決して容易なものではない。
・指導員を続けたいと思っている指導員は約8割。
しかし、現実には5年以内に、約半数が辞める状況。(全国連協、2001)
・障害のある子どもを受け入れている学童保育所は約6200か所(全国連協、2007)
これは2003年の2倍。
入所児童数も約1万2800人となっており、約2倍の伸び。
現在は僕の地元西脇市でも発達障害児童を小6まで受け入れるようになるなど
さらに全国的に受け入れ範囲が拡大しており、
もっと伸びていると思います。
・共働き・母子・父子家庭の増加。
現在、約5割の母親が働きに出ている。
5割というと驚きますが、確かに今のご時世で言えばそうかもしれません。
(児童館と学童保育のの一元化の問題)
・児童館は児童福祉法第40条に定められた児童厚生施設の1つ
・1986年、厚生省が学童保育を「留守家庭児童対策としての児童館」に位置づけ、
「学童保育」との一元化の流れを生み出そうとした。
しかし、1991年、厚労省は留守家庭児童対策を児童館から独立した事業とし、
以後、児童館で留守家庭児童対策を実施する場合は、
「専用室を設けることが望ましい」とした。
1997年からは児童福祉法第6条に「学童保育事業」、
第40条に児童館と明確に区別。
つまり、児童館は「児童厚生施設」という「施設」に位置づけられたのに対して、
「学童保育」は「放課後児童健全育成事業」という1つの「事業」となった。
= 遊び場としての機能しか有していない児童館では、
働く親からの信頼は得られなかった。
児童館では、館の管理者はいるものの保育を行うわけではないので
個々の子どもたちへのかかわりは浅い
僕は神戸で小学生時代を過ごしましたが、
学童保育に行った覚えはなく、なじみがあるのは児童館でした。
単に覚えていないだけかな・・・。
▼「学童保育」の独自性
=「単なる放課後の子どもの居場所とはしない」ということ
・父母会が組織されている学童保育所も多く、
家庭と協働で子どもたちを見ていくスタイルが基本形態。
親たちの相談の場所、励まし合いの場所でもある。
(地域の子育て支援センター的な機能)
・指導員と父母の連携による、子どもたちへの継続したかかわりを通し、
成長・発達を促す場
・枠にとらわれていない
・生活のなかで子どもたちの自発的な遊びの発達を保障しようとする場
・異年齢で構成
・指導員が、昔の近所のおばちゃんのような存在
→・自由に子どもたちが遊び、活動を展開でき、
またそのうえで指導員たちも自分たちの思うように
子どもたちとのかかわりを実現することができる。
(p114(第4章の終わり)まで)
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現代における「学童保育」の役割は非常に大きいですね。
指導員の方がた、本当にお疲れ様です。
次章は第5章「地域の教育力と子どもたちの放課後」です。
それでは、また次回!
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