【実践】漢字の読み書きが困難な子どもがみんなと共に学び合う提案授業(小4「漢字の広場」の授業)その2 ~こんな授業になりました。~
昨日の続きです。
今日は、昨日構想と準備をお伝えした授業について、「実際にどうだったか」をお知らせします。
ライブ中継風に書いていきたいと思います。
昨日の内容をふまえてお読みいただいた方がよいと思います。
昨日の記事を未読の方は、先にお読みください。
授業について具体的なことをお伝えする前に、
まず、前提としての情報をお伝えします。
僕は通級の担当ですが、対象児童を別室で指導するだけでなく、クラスに僕が入って、担任と2人でティームティーチングをすることもあります。
対象児童が普段過ごすクラスでの学びを保障することが大切だと思っているからです。
ただ、その場合も、普段は主指導は担任であり、僕は、基本的にはサポート役です。
今回はその役割を担任と交代し、主指導を僕にさせてくれとお願いしておこなった授業です。
では、以下にその授業を再現してみたいと思います。
漢字の読み書きが非常に苦手な子どもが、いきいきと参加する
小4国語「漢字の広場」の授業
★実践レポート★
■教材:光村図書「漢字の広場3」
(前年度に習った漢字を使って、物語を考えて、書く授業。)
■書くことが苦手な児童の目標:
・班の友達と相談しながら、友達の書いた文につながるような文を考えることができる。
(漢字が書けなくても、主体的・協働的な学びに向かえていればOK!)
#指導書にある「本時の目標」が現実的に達成できない可能性がある児童がいるので、そういった子のための別の目標も立てて臨みました。
#自分としては、むしろこっちがメインで授業を計画しました。
#本来の目標はむしろどうでもいいくらいに思っていました。
#結果より過程重視ですので、「できた」「できなかった」へのこだわりは基本的にないのですが、教師の世界では「評価をどうすんねん」と言われることが多いので、いちおう書いてみました。
■授業の進行の実際(児童の活動)
1.準備をする
僕:今日も、前のように、班で学習します。
4人班をつくってください。
あ、お休みの人がいるので、どこもちょうど4人ずつで組めるね。
(子どもたち:机を動かして向かい合わせになり、4人班の形になる。)
僕:班に一人だけ、タブレットをとってきてください。
(子どもたち:班で相談して、1人が廊下のタブレット保管庫に自分のタブレットを取りに行く。)
2.本時の学習内容を知る
僕:この時間は、僕が授業をします。
1学期に2回したのを、覚えてる?
「自分だけできたらおわり」にするんじゃなくて、みんなができることをめざして協力するという授業をしたよね?
あのときは、普段なかなか書けない子がプリントいっぱいに書いて持ってきたりして、びっくりしました。
(子どもたち:よく覚えている)
僕:「漢字の広場」のところをします。
教科書○ページをひらきましょう。
(電子黒板に指導書添付のルビ付き教科書PDFの該当のページを拡大して投影)
(そのページに書いてあることを、さらりと確認。
2つの物語が「おむすびころりん」と「浦島太郎」であることも、確認。)
今日は、班の人たちが協力して、1つの物語を考えます。
それが、めあてです。(めあてを板書)
(子どもたち:教科書を開けて、いつもやっているように、ノートに日付とめあてを書く。)
#このクラスでは担任が毎授業の始めに日付とめあてを板書し、ノートに視写させるのを習慣にしているので、僕もそれにならいました。
#書くことが苦手な子も含め、めあてを写すだけなら、どの子も毎時できています。
僕:今日は、リレー作文で書いていくよ。
ちょっと、A先生と僕で、やってみますね。
(即興で担任と僕でリレー作文を考えて、子どもたちに聞かせる。
「おむすびころりん」の前半のみ。
擬音を交え、演技交じりにおもしろく表現してみせた。)
僕:こんなふうにやっていきます。
自分で考えたことをどんどん入れていっていいからね。
では、班に1枚、物語を書く紙を配ります。
この紙に、リレー作文で書いていくよ。
(ワークシートを班ごとに配布)
僕:まず、班で相談して、どちらのお話にするか、えらびましょう。
上に並んでいる数字のところに、文を考える人の名前を書いていきます。
1の数字の下には物語の1つめの絵に合う文を書き、2の数字の下には次の人が2つめの絵に合う文を書く・・・というふうに、リレー形式で、続けていきます。
その順番の子は、文を考える担当です。
書くのは別の子が書いてもいいですよ。
紙に書く子がいて、また別の子が、タブレットでその文を入力します。
タブレットの持ち主とはちがう子が入力してもいいですよ。
(電子黒板にはPadletの画面を投影。
すでに最初の文のサンプルを僕が投稿していたのが映っている。
Padletで「+」のところから文字を入力して送信するやり方を演示。)
僕:ほかの班が考えたことが、ここ(=画面)にぽんぽん出てきます。
文を考える時に困ったら、ここを見て参考にしてもいいです。
5番目と6番目のところは、それぞれ、1番と2番の人がもう1回入ります。
まずは順番を決めてから、書いていってくださいね。
時間は15分です。
(黒板中央に、タイマーをセット)
僕:その紙の最後に書いていますが、できあがった物語は、班の人たちで動きをつけて発表してもらいますからね。
僕:それでは、はじめ!
3.班ごとにリレー作文を考えて書き、Padletで共有する
(15分間、各班ごとの子どもたちにまかせる。
どの班も、顔を寄せ合いながら、わいわい言いながら楽しそうに考えていた。)
(↓Padletには各班が考えた文が次々と現れていく。
それは電子黒板で大きく映しているので、それをチラチラ見ている子もちらほら。)
(一部の子どもが元のお話にないものを登場させているのを取り上げて、
「いいね!元のお話にないものを登場させてもいいからね!」と認めていく。)
#一部の子は、「そして、ケチャップをかけました。」などの文を付け足して次へリレーさせていたので、次に考える子がウケていて、大盛り上がりでした。
#「どんぶらこ、どんぶらこ」と擬音を工夫している子もいました。
(終了時間少し前)
僕:あと○分です。時間が来たら、最後までいっていなくても、終わってください。
そして、できているところまでを、発表してください。
(タイマーが鳴ってから)
僕:時間です。終わってください。
4.班ごとに考えた文を発表する(文を読み、演技もしてみせる)
僕:では、1班から順番に発表してください。
(班ごとに、近くの空いているスペースを演じるスペースとして指定。)
(子どもたち:班ごとに演じる。)
#「おむすびころりん」でおじいさんが転がるのを前転で表現したりして、
はじけた演技をする子が続出し、とても盛り上がりました。
時間ギリギリに終了。班ごとに紙を提出して終わる。
終了!
いかがでしたか?
そのときの授業のライブ感が少しでも伝わっているようであれば幸いです。
僕としては今回の授業は、「この子たちにいきいきと学んでほしい」と想定していた数人の子どもたちが例外なく楽しそうに授業中すごしていたので、それだけでもう大満足です。
書くことが苦手な子も、班の中で楽しそうにやりとりする中で、字を教えてもらって書いていて、文まるごとを誰かに代わりに書いてもらうということもなく、自分の役割をしっかり果たそうとがんばっていました!
ご意見・ご感想、コメント欄にてお寄せください。
次回にクラス全体での授業をさせていただく機会に生かしたいと思います。
よろしくお願いします。
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