福島正伸『真経営学読本』3 ~人を育てる「メンタリング・マネジメント」
福島正伸さんの集大成本の読書メモ、第3回です。
『真経営学読本』
(福島正伸、きんざい、2016、税別2500円)
第1回:福島正伸『真経営学読本』1 ~「一人でやり抜く覚悟を持つ」
第2回:福島正伸『真経営学読本』2 ~「『みんな大好き!』って言ってみたらどうだろう」
今回は、第45章「人を育てる」からを参照します。
人に影響力を与えるすべての人に読んでほしい話です。
たぶん、今だからこそ、自分にとって大事なことが、書いてあると思います。
福島正伸『真経営学読本』
3(p266から最後まで)
(・太字部分は、本の引用。
顔マークのあとの緑文字は僕の個人的コメントです。)
・メンター=「究極のリーダー」
・そこにその人がいるだけで、周りの人がやる気になり、人が自然に育っていく
(p274より)
近年、「メンター」という言葉が、ずいぶん使われるようになってきました。
近頃は教育分野でもわりと使われるようになりました。
僕が「メンター」という言葉を最初に知ったのは、たしか、福島さんの本だったのではないかと思います。
福島さんの本を読んでいると、「メンター」のすごさにあこがれると同時に、「メンター制度」というような名称でカンタンに制度化できるような軽いものでもないなあという気がしています。
もちろん、その制度があることでみんなが救われるなら、それでなによりなのですが。
・メンタリングの神髄は「言わずしてやる気にさせること」
・「教えずして人を育てること」
・メンターは、3つの言葉を用いて「メンタリング・マネジメント」を行います。
それは、「見本」「信頼」「支援」の3つです。
・尊敬されるかどうかは、「相手が判断する」ということです。
(p275より)
やる気にさせること、教えないこと。
学校における教師の役割の理想でもあると思います。
理想の教師は、教えません。
教師が教えるのではなく、子どもが、学ぶのです。
主語が、教師ではなく、子どもになっていることが重要だと思っています。
会社における上司と部下の関係も、理想は、教える-教えられるという関係を脱することですね。
僕は、ついつい教えちゃいます。
いや、教えるよりも、もっと悪くて、代わりにやっちゃいます。
そうすると、人は育たない・・・。
依存型人間をつくってしまいます。
僕は、僕に依存されることで、信頼されている気になって、自分の気がすむから、そうしてしまっています。
理想を、絵に描いた餅にしてしまっています。
「これは、こう」と教えた方が早いし、代わりにやっちゃうと、もっと早いです。
効率を優先して、早く終わらせようとするから、人が育ちません。
人を育てるのは、時間がかかりますよね。
でも、時間がかかることから逃げているうちは、人は育ちませんね・・・。
3つのキーワードの中に「支援」が入っていますが、「指導」は入っていないことも、注目ポイントです。
学校教育では「指導」という言葉と「支援」という言葉の両方が使われます。
学校の先生になったら、「指導」しないといけないような気になっています。
しかし、人を育てるためには「指導」ではなく「支援」なのだとしたら、学校における「指導」は、どんどん「支援」に変えていけると、いいのかもしれません。
僕は、現在は「支援」をおこなうことが多い立場をさせてもらっています。
支援とは、黒子になることです。
自分が前に立って目立つのではなく、なるべく目立たずに行うのが、「支援」だと思っています。
「人を育てる」とは何なのか。
福島さんの本を読んで、本質を考えるようになりました。
・見本が7,信頼が2,支援が1
(p277より)
数字は、割合です。
見本のウエイトが、高いです。
昔から、「子どもに親の背中を見せる」などということが言われます。
「率先垂範」(そっせんすいはん)という言葉もあります。
(今さっき、これを漢字変換しようとしたら出てこないので、読み方がまちがっていたことを知りました。ずっと「そっせんずいはん」と読んでいましたが、間違いでした。)
結局、自分がどうであるか、に帰ってくるのですね。
・相手のことを考える前に、育てようとしている自分自身が、どういう生き方をしているのか、それを振り返ってみることが大事だ
・人に勇気を与える一番の方法は、自分の勇気を見せること
(p286より)
前回の読書メモで、「自立型人材」のことにふれました。
他者に「依存」するのではなく、自分に依存する。
視点を、「自分が」に、おく。
人が勝手に育つということは、なによりも見本となる生き方・行動をしている人が、そのそばにいるということによるのですね。
育てようとこねくりまわしても、ほんとうに育つということにはならないことが、分かりました。
・まず自分が泳ぐことで「見本」を示し、尊敬され「ぼくもやってみたい」と思われるようにします。
次に相手を、「信頼」し、相手を受け入れることで、こちらの話を聞いてもらえる関係をつくります。
最後に、泳ぎ方を教える
(p300より)
具体例のところのまとめからの引用です。
非常に分かりやすく書かれていると思います。
これが、できるか、ですね。
いや、できるかできないかではなく、「自分がまず、やろう」と思うことが、大切なのかだと思います。
励ますだけでいいのです。
そばにいるだけでいいと思います。
(p303より)
ひとつ前で引用したところでは「教える」という言葉が使われていましたが、「支援」のレベルが上がると、「教えない」「そばにいるだけ」というところに至るようです。
信頼している人にそばにいてもらえるなら、それだけで、意欲がわきますものね。
うちの子が今反抗期で、いろいろ口出しすると、露骨に嫌がって、反発します。
ひるがえって考えると、自分も、いろいろ口出しされると、嫌なのでした。
同じなのでした。
信頼して任せてもらい、何もせずにいてもらえると、それが一番いい、と、立場を変えれば、たしかに思います。
我慢できずに口出ししてしまうことが続いているので、気をつけようと思います・・・。
いかがでしたか。
3回にわたって書いてきたこの本の読書メモは、ひとまずこれで終わります。
後は、実践ですね。
それが一番、ムズカシイ・・・。
では、読後の余韻を感じられるように、エンディングテーマを流します。
米米CLUBの、「君がいるだけで」!
「メンタリング・マネジメント」についてもっと詳しく知りたい方は、下の本をぜひ読んでみてくださいね。↓
『メンタリング・マネジメント 共感と信頼の人材育成術』
【▼電子書籍】
(福島正伸、ダイヤモンド社、2012、税別1200円)
▼通常書籍
(福島正伸、ダイヤモンド社、2005、税別1500円)
▼福島正伸『キミが働く理由(わけ)』5~相手を「信じ切る」
(2010/01/31の日記)