時代の最先端 Google社の働き方! ~ピョートル『ニューエリート』
お盆休みですのでブログを毎日更新します。
ブログで紹介したい本が山ほどたまっているのです。
たとえば、これ。
『ニューエリート』。
『まんがで知る未来への学び』の前田康裕先生が薦められていたので購入したように思います。
基本的に尊敬できる方が薦められた本は買う主義なので。
『ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち』
(ピョートル・フェリークス・グジバチ、、大和書房、2018、1500円)
著者はGoogle社で長く勤めていたピョートルさん。
日本在住歴も長く、本書出版時点で17年となっています。
どおりで、日本語がお上手です。
Society5.0なんていう言葉が出てきて、社会が急激に変化してきた時代。
旧態依然の働き方・生き方が通用しなくなってきます。
その具体的な「変化」と「対応」を、Google社の働き方から学べる1冊です。
「エリート」という言葉は僕は、あまり好きではありません。
ですが、この本は、いいです!
「エリート」ではなく、
「ニューエリート」ですからね。
ニュータイプみたいなもんです。
では、「ニューエリート」とは何か?
その定義は、p13の表で、「オールドエリート」との対比でまとめられていました。
その最初に掲げられているのが、
「利他主義」。
そして、「社会貢献」「学習主義」などの言葉が続きます。
つねに他の人のことを考え、実践して社会に貢献し、学び続ける人、といった意味でしょうか。
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・変化は突然やってきます。
・変化を受け入れ、変化を乗りこなし、変化を楽しむ必要があるのです。
変わること、変わり続けること。
そのためには、常に次の可能性に備えておくことです。
(p13)
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変化の激しい時代です。
しかし、変化は必然なのです。
変化を前提として生きていかなければなりません。
ちなみに、変化の必要性に気がついていない人たちのことを、本書では
「ゆでガエル層」
と揶揄されています。
お水がお湯になっているのに気づかずにゆであがっちゃったら
気づいた時には死んでますよ!
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・これからの働き方のステージは、クリエイティブエコノミーです。
・情熱、創造性、率先です。
・起業精神が必要になります。
(p25)
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民間企業大手の中には、企業内起業が認められているところがあります。
公教育においても、教職員の副業を許可すべきではないかという議論があります。
大事なのは、クリエイティブ性です。
決められたことだけをやる働き方では、生き残れません。
仕事は自分で作っていくのです。
やりたいことを、自ら手を上げてやっていくことが求められています。
その点、Google社はすごいです。
「就業時間の20%の時間で好きなことをしていい」と認められているそうです。
(p38)
そのほうが、回り回って会社にとっても利益になると分かっているのだと思います。
社内での部活も活発だそうですよ。
「仲良くなるだけでなく、生産性も確実にアップする」ということです。
(p218)
本書の最後には「フロー」という言葉も出てきます。
「フロー状態になれる職場環境」が重要です。
「従業員がフロー状態に入ると、想像力や問題解決力が4倍になり、
さらに、経営者がフロー状態に入ると、会社の生産性は5倍にまで膨れ上がる」とか。
(p257)
「フロー」はマラソンランナーのランナーズハイのような状態で、
没入してすんごく集中している状態です。
野球で言うと、集中しすぎて「投げた球が止まって見える」ような状態です。
この状態になれば天下無敵ですが、うれしいことに、誰でもなれます。
ただ、どうやってなるかが、問題です。
環境の重要性がそういうところからも分かります。
「フロー状態になれる職場環境」が用意できたら、最強ですね。
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・「見たい世界」を作るために、自分がやるべきこと=ミッションを探しだし、そのミッションを果たしていきます。
・実現しようとする意志の強さが重要です。
・エネルギーがあれば、賛同する人は必ず現れます。
(p43)
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同じようなことを言っておられる日本人がいます。
斎藤孝さんです。
斎藤孝さんの唱えておられる三拍子。
「ミッション、パッション、ハイテンション」。
語呂がいいので、ずっと覚えています。
大事なことは、変わりません。
ピョートルさんの場合は、「ビジョン」を最初に持ってきて
「ビジョン、ミッション、パッション」と言っておられます。
(p44)
なお、ビジョンの叶え方のところで、
「自己実現=他者貢献」と言われているところが、興味深いです。
(p47)
自分のやりたいことが、他者への貢献と重ならないと、ならない。
その取り組み方のコツは、本書にいろいろ書かれています。
たとえば、
「中途半端に取り組まず、120%の力を注ぐべき。」(p101)
とあります。
100%ではありません。
120%です。
自分で設定した限界は超えないといけません。
まさに、フローです。
あふれ出るエネルギーでもって、やり抜くのです。
逆に、取り組まないコツも、書かれています。(笑)
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・自分がやる仕事とやらない仕事をはっきり決めます。
・「やらない仕事」は、
「完全に捨ててもよい」
「自動化・仕組み化して行う」
という2つの選択肢があります。
(p103)
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会社で働いている立場だと「やらない仕事」と自分が決めても、組織としてやらざるを得ないことがほとんどだと思います。
なので、実際には「自動化・仕組み化して行う」をどれだけできるかですかね。
僕が提唱している「AIを使って自動化・仕組み化」というのも、全く同じです。
具体的には、エクセルのマクロ機能などを使って、3時間かかる仕事が3分でできたりします。
(参考▼大規模校で役立つ!別のエクセルデータから「探してくる」操作の自動化)
本の中で具体的に紹介されている事例は、メルカリでした。
「人が同じタスクを2度以上すると自動化のチャンスととらえ、AIと機械学習で自分たちの仕事をこなしていく。」(p103)
とのことです。
同じタスクを2度以上していることなんて、日常茶飯事ですよね。
かなりの仕事が、実際には自動化・仕組み化できることになります。
だからこそ、クリエイティブな仕事に時間というリソースをかけられるようになるのです。
クリエイティブな仕事の進め方としては、たとえば他者を巻き込んでいくことが書かれています。
「著書のタイトル候補が5つくらいあるときに、フェイスブックを通じて意見を募集する」
(p141)などのアイデアが、それです。
タイトルを一緒に考えてくれた人たちは、仲間意識を強められますし、すごくいいアイデアだと思います。タイトルを客観的な意見をもとに決められるのと、仲間の絆が深まること、一挙両得です。
SNSは使いようですね。
リーダーシップの取り方についても、本書後半に書かれています。
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・「予算や納期などの制限がなかったら?」
「10倍のリソースがあれば?」
など、可能性を最大限に広げるような質問を投げかける
(p196)
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自分たちで頭の中に勝手に制限をかけていることってわりと多いです。
リーダーはまず、その制限を取っ払う。
なんでもできる、自由な発想で考えさせる。
いいですね!
ちなみに、優れたリーダーは「質問『しか』しない」そうです。
「質問」の重要性が分かります。
最後に、今風の働き方として、瞬時にデータ化する働き方を引用しておきます。
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・議事録や資料は、クラウド上のグーグルドキュメントに全員が同時に書き込みます。そうすれば、ミーティング終了時には資料ができあがっています。
(p200)
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環境としては、学校の教職員についても同じような環境が用意されるようになりました。
すでに会議の議事録を会議と同時並行で作っている学校も聞いています。
ただ、僕の場合、実際にやると、会議に集中しきれなくて中途半端になってしまいました。
可能性は感じるものの、もっと貪欲に実践していかないと、そんなにすぐに理想の形にはなりませんね。
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