相手をコントロールしない(藤由達藏『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』)

ブログで紹介したい本がたまっています。
春休みに、ぜひ読みたい本を、紹介します。
​​
結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる 能力以上に結果が出る「行動力」の秘密』
(藤由達藏
、青春出版社、2015、1430円)
著者の考え方に、非常に共感しました。
タイトルを見ると、行動力の大切さを説いた本かな、と思いましたが・・・
その話から始まりつつ、後半には、もっと大切な話に、突入していきました。
大変驚かされました。
著者は、労働組合の専従書記長を4年、専従委員長を4年された方。
​人を応援することの楽しさ、素晴らしさ​」を身をもって体験されたそうです。(p204)
本書の中で著者は次のように書いています。


・結果を出す人は、相手をコントロールしようとしません。
 相手を支配下に置き、コントロールしようとすると、自分にとって都合が良いか、そうでないかの視点からしか見られなくなります。
(p152)


これ、すごく重要なことが書いてあると思いました。びっくり
人のことを自分にとって損か得かという損得勘定でしか見ない人に、誰がついていこうと思うでしょう。
4月から環境が変わる人がたくさんいると思います。
新しい人たちと関わっていく上で、立場の違いこそあれ、お互いをリスペクトし合うような関係性を築いていこうとしない限り、結局のところ、自分がやりたいと思うことへの協力も得られないのです。
特に、立場が上の者は、立場が下の者をコントロールしようとする傾向が強くなります。
自制しなくてはなりません。
著者は、先ほど引用したところの続きで、次のように語っています。


・「相手がやりたくて、こちらがやってほしいこと」
 「相手がやってほしくて、こちらがやりたいこと」
 を探し出すことです。
 こうなると、やりたいことだけをやるだけで協力し合うことができます。
(p153-154)


自分と相手の共通点を探る。
僕が通級指導で、対象となる子どもと関わらせていただく時に大事にしていることも、まさにこれです。
「教える」という立場であったとしても、相手がどうなりたいか、相手がどうしてほしいと思っているかを確認することなしに、一方通行で教えたとしても、それは意味をなしません。
右から左に抜けていくだけです。
相手の希望は、出会いの4月に、まず確かめておくように、したいものです。
さらに、この3ページ後には、「​私メッセージで伝える​」ということも、出てきます。
「私メッセージ」は、「Iメッセージ」とも言いますね。
「私はこう思ったよ」ということを伝えることです。
「あなた」ではなく「私」を主語にするだけで、伝わる雰囲気が、ずいぶん変わってきます。
​「自分の中に起きた良い影響を伝えるだけで、相手は自ら動き始めるのです。」​​
(p157)
「ありがとう」も、このことをギュッと凝縮して伝える、魔法の言葉ですね。
「自分が、自分が」ではなく、相手のことを考えた「自分は」を、伝えていきたいものです。
最後に、もう一つだけ、僕がとても印象に残っているところを、引用します。


​​・というものがこの世界全体の活力とか、エネルギーであるとしてみると、その「気」の分割された単位が​気分​であるというイメージが湧いてきます。​​
 「私の気分」と言った場合、全世界のエネルギーを分有する私の気、しかも今この瞬間の活力の状態を示すのが「気分」だということになります。
 世界全体の活力のうち、私の分担に預かっているのが「私の気分」です。
(p200)


そんな視点で見たことがなかったので、とても驚きました。
なんという高い視座でしょう。
目の前のことを自分の視点から見るのではなく、世界全体の視点から、「私」を見ています。
こういうマインドを持てると、強いです。
自分と相手の2者だけしか見えていない人は、行き詰まります。
世界の中のひとりとして自分も相手も存在するということが見えている人は、行き詰まりません。
広い周りが、見えているからです。
だから、行き詰まりようがないのです。
僕は今まで、狭い視野でしか見えていなくて、すぐに行き詰まることを繰り返してきました。
世界の「気」を分けてもらっているという「気分」で、自分の気分や感情も客観的にとらえながら、4月からまたがんばっていこうと思います。
さて、この本、実は、今は文庫化されているようです。ぽっ
文庫で手に取りやすくなっているようですので、ぜひ、読んでみてくださいね。

『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』(青春文庫)
(藤由達藏、青春出版社、2018、814円)

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