LD通級担当者が通常学級に対して行う「漢字の読み書き」の苦手さへのアプローチ
僕は、全国的な名称としてはいわゆる「LD通級担当者」という仕事をしています。
LD(学習障害)の傾向のある子どもたちへの指導や支援を考え、実施するのが主な仕事です。
(ほかにもいろんな子の指導や支援を考え、実施しています。)
LD傾向の子どもたちに非常によく見られる苦手さとして、「漢字の読み書き」の苦手さが挙げられます。
教科書の漢字のほとんどが自力では読めないとか、
漢字テストをするとほとんど正解しないので書く気をなくして無回答だらけになるとか、
そういう子は、ざらにいます。
全国的にも、かなりいると思います。
読めない、書けないのに、クラスの中で読み書きをしないといけない、その気持ちを考えると、やるせなくなります。
#個人的には読み書きよりも大事なものがあると思いますが、学校は一般的に読み書きばかりさせるところになっていると思います・・・
そこで、そういった子がクラスの中で感じている困り感について思いをはせ、その困り感の改善を目指すのが、僕の大事な仕事になります。
通級担当者が全国的に増え、なかには「クラスを離れた別室で指導しているだけ」の担当者も増えているのではないか、と懸念しています。
大切なのは、多くの時間を過ごしているクラスの中での指導や支援ではないでしょうか。
わずか週に1~2時間の「通級の時間」だけよくても、しかたありません。
通級担当者は、クラスにどうかかわっていけるのでしょうか?
クラス(=集団で学ぶいつもの教室)での、音読の場面や、漢字テストの場面で、どのような指導や支援をしていくのか。
その場にいるのは、もしかすると、担任だけかもしれません。
通級担当者は、そのとき、その場にいることはできないかもしれません。
でも、何かできることは、あるはずです。
僕が今日やったことを、参考までにお伝えします。
今日は珍しく、通級担当としてしっかり仕事をした気がします。
日常的な通級指導に加えて、大きく次の3つの仕事をしました。
(1)漢字が読めないので音読で困る子どものための
「ルビ付き教科書」のコピーを、その子の担任に渡した。
国語の指導書にはDVD-ROMが付録としてついてます。
そこには、ルビ付き教科書のPDFデータも、収録されています。
紙の教科書にはふりがなはありませんが、このデータを印刷すれば、すべての漢字にふりがながついています。
漢字が読めない子どもが、これを印刷して渡してやるだけで、いきいきと音読するようになりました。
今までも渡していたのですが、そろそろ下巻の学習が始まるので、
下巻の分を、2学期の終わりまでに学習する分をそろえて綴じて、
今日、担任の先生に渡しました。
担任の先生から、下巻の学習が始まるタイミングで、その子に渡してもらいます。
(2)漢字の読み書きが非常に苦手な子がいるクラスで
「漢字が苦手でも楽しく参加できる『漢字の広場』の授業」を
担任とのティームティーチングで実施した。
「漢字の広場」というのは光村図書の国語教科書に出てくる1ぺーじものの小単元です。
前学年に習った漢字の復習をして、定着を図るものです。
「習った漢字を使って文を作る」という学習が基本パターンです。
僕が事前に、担任に「させてください」とお願いして実施した特別授業です。
「漢字が苦手な子が楽しく参加できる授業」という、それだけを考えて計画しました。
ほんとは明日する予定だったのですが、都合により今日になりました。
そのクラスには漢字が苦手な子が数人いるのですが、今日の授業は、
あまりにも漢字に重点を置かなかったおかげか、
どの子もとても楽しく笑っていました。
これ以上の詳しいことも書きたいのですが、たくさん書きたいことがあるので、それについては後日、詳述します。
(3)漢字10問テストでほとんど書けない子のために、
タブレットで答えられるように準備した。
今までもタブレットで漢字テストを実施できないか考えていたのですが、
今日、ようやくめどが立ちました。
僕が思いついたやり方は、
■紙の漢字テストを画像としてスキャン
→ ■パワーポイントの背景に、その画像を設定
→■縦書きテキストボックスをその上に配置
(なにも入れないと消えちゃうので、問題を数問入力)
といったものです。
実際の使用は、明日の予定です。
これについても、また改めてブログに書きたいと思います。
▼指導書に、教科書のルビ打ち/分かち書きのデータあり
(2021/09/10の日記)
▼タブレットPCで、デイジーのデジタル教科書を使えるようにするには
(2018/03/06の日記)
▼Word文書でルビ付き漢字の読み上げをさせる方法
(2021/09/02の日記)
▼小学校市販テストの合理的配慮等(正進社のパンフレットより)
(2019/05/19の日記)
▼読み書き障害についての福井県の冊子(無料閲覧可)がすごすぎる!
(2018/10/17の日記)
▼テキストデータを読み上げるWebアプリ「音読さん」。写真も読むよ♪
(2021/12/15の日記)