好きな人を思うだけで幸せになる気持ちは、永遠だ
中島らもという人は、すごい人らしい。
別にファンではないのです。
ただ、文庫本を、古本屋で偶然見かけて、安かったので、買ってみたのです。
兵庫県の尼崎市生まれの方のようで、幼少期のエピソードに興味を惹かれました。
『世界で一番美しい病気』 (ハルキ文庫) [ 中島らも ]
期待にたがわず、尼崎での少年時代のエピソード(性のめざめや恋愛に関するエッセイ)はなかなか面白く、それはそれで興味深く読んだのですが、一番印象に残ったのは、ご本人ではなく、友人の方の話です。
その友人は、「非常に激しい片思い」をしていたそうです。(p141)
その友人の言葉が、よかった。
・東京に行くといつもこう思うんだ。
あの人が息を吐くだろ。
僕が息を吸うだろ。
それはつまり ひとつの空気をやりとりしていることなんだ。
雨がふったら その同じ雨に濡れるということなんだ。
(中略)
そう思っているだけで生きていける。
(p142より)
こういう感性は、とっても大事だな、と思いました。
『星の王子さま』の中で、
「大切なものは 目に見えない」
という、とっても有名な言葉が出てきます。
好きな人と同じ町に居て、同じ空気を共有している、と思うこと。
それを想像するだけで、幸せに生きていける。
春は出会いと別れの季節ですが、たとえそばを離れても、存在を思うだけで、あなたも幸せになれるかもしれません。