「通常学級内での通級担当による支援」

7月1日にインクルーシブ教育の学習会で話をしてくれ、と頼まれています。
ここ1か月ぐらいは、その準備をいそいそと進めてきました。
今回は、そこで配布資料として配ろうとしている、僕の過去の発表原稿の中から、一部を抜粋してお届けします。
今回のテーマは、「通常学級内での通級担当による支援」です。ウィンク


通常学級内での通級担当による支援
 通級担当は必要に応じて通常学級の授業に入り,対象児童だけでなくクラス全体の指導に関わることもある。通級対象児童が普段の授業でも安心して過ごせるように,通常学級の授業に通級担当等が支援に入ることは重要である。
 私は通級担当として,常に「通常学級の中で対象児童が安心して過ごせること」を念頭に置き,それをめざしてきた。別室指導ありきではなく,現在学習中の単元内容や当日の授業の予定内容を担任から聞き,「クラスでみんなとやるか,別室でやるか」を決めていた。本人の意見を聞いて決めることも多かった。子ども自身がどこで学ぶかを決める権利をもっていると考え,それを尊重することは,子どもの権利条約や障害者の権利条約を踏まえれば,非常に重要であると考えている。
 クラスの中で授業を受ける場合は通級担当がクラスでの授業を観察したり,授業中の支援をおこなったりすることで,普段の対象児のクラスでの学びを支えることにつながった。それは,たとえばクラスの中でどういうことで困っているかを見取って,「こうしてみれば」と適宜提案したり,クラスメイトとの関係の仲立ちをしてペア学習やグループ学習がどうすればスムーズに進むかの支援をおこなったりすることによってである。
 具体的にクラスへの入り込み支援で使用していた支援ツールとして,「​携帯用筆談ボード​」があった。これは本来聴覚障害のある者のコミュニケーションのためのものであるが,書いたり消したりが瞬時にでき,視覚支援をするうえで大変使い勝手が良かった。支援者がヒントを書いて見せるといった使い方のほか,児童本人にこのボードに書かせることもあった。ノートに書くよりも大きな字で,その文字だけを目立たせて書くことになるので,漢字の確認や筆算の手順の確認などに有効であった。
(2018 N市人権教育大会レポート「読み書きに困難のある子の学習保障」より抜粋)


「通級担当」が日本全国で増えています。
僕は、「通級担当」は、通級の部屋で待っているだけでは、あかんと思っています。
子どもたちはふだん、どこで過ごしているのでしょう?
子どもたちがふだん過ごしている教室に入ることなしに、ずっと別室で待機していては、子どもたちの普段の学校生活の改善に、結びつきにくいのではないでしょうか。
子どもたちのふだんいる教室に入ることは、とっても重要なことです。
僕は今日も通級対象のお子さんがいる教室に、入ってきました。
その子だけを見るのではなく、教室内を影武者のように動き、いろんな子の観察記録を書きながら、一時的に声掛けをしたり、支援をしたり、して回りました。
同じように「支援」を仕事にしている方々に、もしも参考になるところがあれば、幸いです。ぽっ
2023.6.29追記↓
在籍学級内で学びが保障されることが、「インクルーシブ教育」の観点から言っても、必要なことであり、大切なことであると思っています。
「通級は別室でその子に合った自立活動の授業をするもの」という捉え方が一般的だと思います。
それを全面的に否定するわけではないものの、それだけになってしまうとクラスでの子どもたち同士での学びにつながっていきません。
特に、近年は学級担任が不足しており、担任経験が浅い方が担任をされていて、いろんな子どもたちに対応した臨機応変な授業の工夫がされにくい実態があり、通級担当者がクラスに入っていって担任や子どもたちの実際の学びを「学びにくいAさんも一緒にできるようにしていく」ことが、よりいっそう求められているように思います。

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